治療が必要な依存症と認定

2019年5月下旬、世界保健機関(WHO)が「ゲーム障害」を病気として正式に認定した。スマートフォンやゲーム専用機、PCなどを通じたゲームに没頭し、日常生活に差し障りが生じている状態を、アルコールや薬物といったケースと同様の依存症と位置づけたのだ。つまり、治療が必要だとみなしたことになる。

AFLO=写真
日常生活に支障をきたすゲームのやりすぎが、依存症と認定された(写真はイメージ)。

「ゲーム障害」に陥る人には、①プレーする頻度や時間などを自己制御できない、②日常生活よりも優先する、③悪影響が出ていても没頭し続ける――という3つの傾向がうかがえる。これらが少なくとも12カ月間続くと、依存症に陥っていると判断されるのだ。ネットゲームの世界から抜け出せなくて生活が荒んだ人を「ネトゲ廃人」と揶揄するように、「ゲーム障害」への社会の見方は批判的だった。だが、医学博士で立命館大学教授の美馬達哉氏は指摘する。

「病気として認知されれば罪悪感のハードルが下がり、周囲の人たちや専門家に相談しやすくなるでしょう」

ただし、こうした依存症は医師に診てもらえば治るというものでもない。不安を抑える薬が処方されても、あくまでそれは対症療法。肝心なのは、患者自身が心理的な依存を断つことだ。専門家の指導以上に、「アルコール依存症の断酒会のような同じ経験をした人たちのサポートのほうが有効」(美馬氏)という。

【関連記事】
"泥臭い営業"が不要になるITツールの驚異
ゲームを取り上げても不登校が治らない訳
「冷房をつけて寝ると体に悪い」はウソだ
「あの病気」、原因は意外にも目にあった
"気軽に抗生物質&ロキソニン"が怖いワケ