このほかにも日本では未承認薬だが、ED治療薬として知られているものに韓国の製薬会社が製造する「ザイデナ」がある。レビトラ、シアリスのジェネリックは、国際的にも特許が満了を迎えていないので本来は存在しないはずだが、海外ではインドが特許法の違いから製造し、インド製が数種類流通している。

ED治療薬以外にセックスや若返りに効果がある精力剤はあるのだろうか。永井教授が説明する。

「学術論文に出ているものを調べたことがありますが、亜鉛、コエンザイムQ10、ビタミンBやD、クルクミン、レスベラトロールなどが該当するでしょう。アルギニンが配合された強壮剤はある程度勃起に有効だと考えられます」

数多くのED治療薬が海外では販売されており、前述した治療薬はインターネットを使えば簡単に手に入るため、個人輸入による購入者が増えている。というのも規定数量の範囲内であれば、個人が使用する分については薬機法(旧薬事法)の規制対象外となり、医療用医薬品であるED治療薬も医師の処方箋なしで輸入できるからだ。安価で手に入ることや、「人に知られるのは恥ずかしい」という感情も大きな理由だ。

とはいえ自分自身で個人輸入するには、税関を通すための難しい手続きが必要になることもあって、海外医薬品を扱う個人輸入代行サイトの利用者がほとんど。インターネットで「医薬品 輸入代行」と検索すると、多くの代行業者がリストアップされる。こうした代行業者を通せば、楽天やアマゾンのような一般的な通販サイトと同じように医薬品を購入することが可能だ。サイトは、すべて日本語で記載され、語学に自信のない人でも利用できる便利さもある。

個人輸入のED治療薬、偽造医薬品が約40%

ところで未承認の医薬品の広告・宣伝は薬機法によって禁止されているのに、なぜ可能なのか。薬事法広告研究所代表の稲留万希子氏が説明する。

「医療用医薬品を扱う個人輸入代行業者の運営元はほとんどが海外資本で、拠点は国内にありません。外国語が苦手な人の仲介をして、薬代と手数料をいただきますというのが業者のスタンスです。日本国内の消費者に向けて日本語で広告するのは薬機法違反ですが、海外に拠点があり、あくまでも客の依頼に応じて個別商品の輸入手続きを請け負うという形式であるならば、日本の法律を適用するのが難しいのでしょう」

厚生労働省は2014年から国内外のインターネット販売サイトの監視を強化している。実際、17年3月時点で、海外の医薬品の個人輸入を手がける日本語サイトの大半が広告規制に違反しているとして、厚労省が委託したアメリカのネット監視会社の調査結果をもとに、約2500件のサイトが閉鎖されている。