「知育」要素を取り入れたおもちゃ開発
マクドナルドが一時期の不振を脱し、復調目覚ましい。今年5月まで、既存店売上高は42カ月連続で対前年同月比プラスとなっている。新メニュー開発や店舗リニューアルなど、さまざまな改善が行われてきた結果だろう。一連の改革のひとつの柱となったのが、「ファミリー層の重視」という方針だ。
たとえば2014年8月には、他社に先駆けて「全店完全禁煙」を実施。子供たちを受動喫煙から守りたいと考える親にアピールした。それにあわせて老朽化した店舗のデザインを一新。明るく清潔な雰囲気に切り替えていった。
このような環境整備のうえで取り組んだのが、「ハッピーセット改革」だった。
これまでハッピーセットのおもちゃといえば、人気アニメなどとのタイアップ企画のイメージが強く、ラインアップは男女や年齢層に合わせて4パターン程度となっていた。
約2年前に始まった改革の結果、新たに加わったのが「オリジナル企画」のおもちゃだ。主に「知育」に焦点を当てたもので、既存のキャラクターに頼ることなく、自動車や船などの乗り物を組み立てられるブロックやミニサイズの図鑑・絵本などが登場した。昨年7月からはおもちゃ1~2種類に加えて、絵本と図鑑をそれぞれ1種類ずつ必ず選べるようにしている。
「ためになるおもちゃを」母親たちからの要望
こうした変化の背景には、来店動機を変えたいというマクドナルド側の狙いがある。子供が人気キャラクターの景品を欲しがるから、仕方なくマクドナルドに行くというのは「消極的」な来店動機だ。それよりも知育おもちゃを目当てに、親が進んで子供をマクドナルドに連れて行くようになれば、それは「積極的」な来店動機になる。
ただし、そのためには子供が夢中で遊ぶものであることが前提になる。
日本マクドナルドのサラ・カサノバ会長は、社長職にあった頃、事業建て直しのため、全国47都道府県の店舗を回って、計352人の顧客の声を直接聞く少人数のタウンミーティングを行った。そのとき「ハッピーセットの改革」を顧客から要望されたという。
また、マーケティング部門では定期的に、インターネットや街頭インタビューなどで親たちに「ハッピーセットの景品に何を望むか」というリサーチを行っている。ここでも同様に、知育おもちゃへの要望が高い傾向が出ていた。
ナショナルマーケティング部の元浜裕貴統括マネジャーは「お母様たちからよく言われるのは『子供のためになって、子供が夢中で遊んでくれるおもちゃをつくってほしい』ということです」と話す。