大好評だった「のりものブロック」

マクドナルドに限らず、小さな子供を連れて飲食店に来店した母親は、子供の食事が終わるまでかかりきりになり、そのあとでようやく自分の食事となる。自分が食べている時に子供がむずかると、落ち着いて食事ができない。先に食べ終わった子供がハッピーセットのおもちゃで遊んでくれれば、非常に助かるというわけだ。

子供たちが夢中で遊び、母親たちからも好評だったおもちゃとして、昨年9月に発売した「のりものブロック」がある。4つから5つのブロックパーツを組み立てると乗り物になるおもちゃで、ラインアップは消防車、パトカー、ヘリコプター、ボートなど全8種類。複数のブロックパーツを組み合わせれば、自分だけのオリジナルの乗り物もつくれる。ブロック欲しさに、販売期間中に複数回来店する親子も目立ったという。

写真提供=日本マクドナルド

今年2月に発売した「おさるのジョージ」の水笛は、中に入っている水の量で音の高低が変わるという古典的なおもちゃだが、「子供と一緒に遊びたい」と店舗に足を運ぶ親が相次いだ。このように、親子のコミュニケーション促進を考えた知育おもちゃも誕生している。

図鑑をおまけにしているのは世界で日本だけ

オリジナル企画はおもちゃだけではない。昨年7月からハッピーセットのおまけに、「絵本」と「図鑑」が新たに加わった。絵本は人気作家による書き下ろしのオリジナル作品。図鑑は人気のある「小学館の図鑑NEO」シリーズを抜粋再構成している。どちらも写真やイラストは大人も楽しめるクオリティだ。2~3カ月に1度、ラインアップが変わる。昨年7月の第1弾は、絵本・図鑑ともに1カ月でほぼ完売となった。

写真提供=日本マクドナルド

絵本は海外事例があるものの、ハッピーセットのおまけに図鑑を採用しているのは、世界のマクドナルドで日本のみだ。ハッピーセットは年間で約1億セット程度販売されている。この数字からいえば、いまやマクドナルドは絵本・図鑑を日本一売っている店といえるかもしれない。

ハッピーセットは発売前に一般家庭でモニターテストを行っている。前出の元浜氏は「知育の要素を取り入れたおもちゃのほうが、そうではないおもちゃに比べて複雑なため、製造期間や費用面で苦労する面があるが、大きな需要があると感じている。現在も協力メーカーと開発にあたっている」という。

今年7月のハッピーセットでは、『ポケットモンスター』のキャラクターを起用して、けん玉やコマ、的当てといったこれまで通りのおもちゃが登場している。一方で、今年5月の「スヌーピーとうちゅうはっけん」は、宇宙飛行士に扮したスヌーピーをメインに、月の公転など宇宙の知識が学べる「お話カード」が付属している。人気キャラクターに知育要素を取り込むことで、親の要望に応える工夫が凝らされていた。