「経済的な理由で食料の購入が難しいことがあったか」

貧しい人は、他の人に比べ「穀物」摂取量が多い一方、他の「果実」「魚介類」「肉類」など他の食品の摂取量は低い。そして、「肉類」の中では「豚肉」が最も好む。

非常に興味深い調査結果であるが、本当にこう判断できるだけの信頼に足るデータなのであろうか。また、「肉類」以外の食事についての詳細はどうなのだろうか。こうした点について以下にふれていこう。

「貧乏な人は何を食べているか」。この命題に関する統計データはありそうでなかなか得られない。厚生労働省が毎年調べている「国民健康・栄養調査」は、具体的な食事内容の調査によって食品の摂取量を調べ、その結果から栄養摂取の状況を算出している。

この「国民健康・栄養調査」では毎回、次の3つの調査が行われる。「栄養摂取状況調査」「身体状況調査」(食事の内容や肥満・血圧などの身体状況)、さらに、「生活習慣調査」(20歳以上対象で健康・栄養についての実態や意識を調べる)である。

「生活習慣調査」の調査項目には継続項目と単年度項目とがあるが、2014年には、単年度項目として「経済的な理由で食料の購入が難しいことがあったか」という設問を設け、これと調査日(平日)における家庭での料理の献立や外食内容を記録する「栄養摂取状況調査」の結果とをクロスさせた集計を行っている。

所得階層別の集計ではないが、食料に困ることがあったかどうかという直接的な貧困現象でクロスした集計を行っているので、むしろ、実感的に分かりやすいデータになっている。この集計結果から、生活困窮者(貧乏な人)は何を食べているかを探ることができるのである。

大手メディアがスルーした調査結果の「衝撃的事実」

食料に困ることがあったかという設問の回答者数は図表2の通りである。

貧乏人の定義

「過去1年間に経済的な理由で食物の購入を控えた又は購入できなかった経験は」という設問に対して、「よくあった」が373人(4.9%)、「ときどきあった」が1078人(14.1%)という結果であり、両者を合わせた2割弱を生活困窮者(貧乏な人)とここではとらえることにする。

回答の分布とともに、回答者数そのものの多さに注目してほしい。困窮者1000人以上を含むトータル7630人からの回答を得ている。内閣支持率に関する新聞社の調査などはせいぜい回答者数が1000人程度。7630人ということは、それに応じた精度の高さが期待できるのである。

しかも、若干人数は減るが、食材の重さをはかりで量りながら、調査日における食事内容を記入してもらう栄養摂取状況調査にも回答した人の結果なのであるから、投入される回答者の労力を考えると国の統計以外ではまず不可能な調査だという感が深い。

こんなに「すごい」調査であり、また、経済困窮度とのクロス集計が極めて興味深い内容を含むものであるのに、その結果は一般の関心をひかなかった。厚生労働省により、全体報告書にせんだって公表された「結果の概要」にはそうしたクロス集計結果が記載されなかったので、それを読んで報道することが多いメディアの記者たちも気がつかなかったのである。