弁護士・税理士も「一生安泰」ではなくなってきた

AI技術の発展は銀行だけでなく、弁護士など「なるのは大変だけれど、就けば一生安泰」だと思われていた職業にも影響を及ぼしています。もう、判例を調べるといった作業はコンピューターがやってくれます。

さらに技術が進むと、過去のデータから、「被告の適切な刑は懲役何年、執行猶予が何年です」なんて、AIが算出してくれるようになるかもしれません。判決には、やはり人情の機微も入ってきますから、全部AIにまかせてしまうようにはならないかもしれないですけど、弁護士さんや検事さんの仕事はだいぶ省力化され、人手がいらなくなると考えられます。

その他の専門性の高い仕事、たとえば税理士さんや公認会計士さんのお仕事も、マイナンバー制度が普及すればもっと自動化されていくでしょう。

こうなると、美容師さんなど自分の腕一本で勝負するお仕事のほうが最後まで残るかもしれませんね。お客さんのリクエストに応えて髪を切るロボットは、実現がだいぶ難しそうですから。

先生の役割も変化している

昔から、安定した職業の代表であった学校の先生という仕事も、大きく変わりつつあります。先生が黒板の前に立って一方的に講義をする、という授業は時代遅れになり、今は「アクティブラーニング」を取り入れた授業が推進されています。

アクティブラーニングとは、学び手が主体的に、仲間と協力しながら課題解決をするような学習方法です。あるテーマについて調べたり、グループで議論をしたり、教室の外に出てなにかを体験したりする。先進的な学校では、「黙って座ってノートをとる」という従来の学び舎の姿からはかけ離れた様子が見られます。

「台形の面積の求め方」なども、先生が授業で教えてくれるのではなく、自宅でまずは学習動画を見るなどして、予習してくる。授業ではそれを使って、自分で問題を作るのです。これは「反転授業」といわれ、2000年頃にアメリカで始まった試みです。日本でも、少しずつこの方法を導入する学校が出てきています。

先生の役割は、知識を教えることではなく、子どものやる気を引き出し、もともと持っている能力を伸ばすことに移行してきているのです。

それができない先生は、生徒から「先生の授業より、ユーチューブで見られる授業動画のほうがわかりやすいよ」なんていわれて、仕事がなくなってしまうかも? 大変な時代です。