成功者は何でもできる「天才」とは限らない。むしろ苦手なことには手を出さず、自分の得意とする「能力の輪」にとどまる傾向がある。たとえばビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズ、ウォーレン・バフェットの3人には、そうした共通点があるという――。

※本稿は、ロルフ・ドベリ著、安藤実津訳『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Man at Work)

自分の「能力の輪」の外側にあるものは理解できない

世界を完全に理解している人はいない。人間ひとりの脳で理解するには、世界はあまりにも複雑すぎる。

たとえあなたが一流の教育を受けたとしても、理解できるのは世界のほんの一部にすぎない。だがほんの一部にすぎなくても、世界を理解することにはやはり意味がある。その小さな一部が、成功に向けて高く飛び上がるためのスタート地点になるからだ。スタート地点がなければ離陸はできない。

投資家のウォーレン・バフェットは、「能力の輪」というすばらしい表現を用いている。

人間は、自分の「能力の輪」の内側にあるものはとてもよく理解できる。だが「輪の外側」にあるものは理解できない、あるいは理解できたとしてもほんの一部だ。

バフェットは人生のモットーとして「自分の『能力の輪』を知り、その中にとどまること。輪の大きさはさほど大事じゃない。大事なのは、輪の境界がどこにあるかをしっかり見きわめることだ」と述べている。

「お金では買えない自信」を持つことができる

バフェットのビジネスパートナーであるチャーリー・マンガーは、さらにこんなふうに補足している。「自分に向いている何かを見つけることだ。自分の『能力の輪』の外側でキャリアを築こうとしてもうまくいかない。請け合ってもいい」。

IBMの創業者トーマス・J・ワトソンは、この主張の正しさを裏づける生きた証拠だ。ワトソンは自身についてこう述べている。「私は天才ではない。私にはところどころ人より優れた点があって、そういう点の周りからずっと離れないようにしているだけだ」。

自分の「能力の輪」を意識しながらキャリアを築くことは、いい人生を送るためのコツのひとつだ。

自分の「能力の輪」に常にピントを合わせていれば、そこからもたらされるのは金銭的な成果だけではない。感情的な成果も得ることができる。自分には人より抜きんでた能力を持つ分野があるという、お金では買えない自信である。

そのうえ時間も節約できる。「能力の輪」の境界がわかっていれば、仕事上で何かを承諾したり断ったりしなければならないときでも、そのつど判断しなくてすむからだ。

それに「能力の輪」の境界が明確なら、たとえどんなに魅力的な仕事のオファーでも、自分にふさわしくないと思えばきっぱりと断ることができる。自分の「能力の輪」をけっして越えないようにすることが重要だといえる。