外国人エンジニアを採用しているソフトバンクでは「グローバル採用枠の中で韓国人は年に10人ほどで多い部類。アジア全般に言えることだが、仕事に対して意欲的で、日本で働くことに対して前向きな人材が多い」(広報)と話す。

韓国では最も割の良いホテルバイト。それでも時給は8000~1万ウォン(約790~990円)ほど。

グローバル人材の採用に注力しているみずほフィナンシャルグループ(FG)では直近4年間で採用した119人の外国人のうち36人が韓国籍。韓国人材にこだわっているわけではなく、同社の採用基準に照らして、「リーダーシップ素養」「変化志向」に加え、「創造的思考力」「問題解決力」を重視して公正公平に採用した結果であるという。

採用にあたっては現地の大学を訪問して説明会を開催しているほか、韓国語WEBサイトの用意やWEB面接も行うといった熱の入れようだ。選考については、一定レベルの学力に、日本語能力も重視される。

みずほFG広報は「韓国の学生は早くからグローバル企業への就職を目指して英語習得や学業、企業でのインターンシップなど自身のキャリア形成に主体的に取り組んでおり、優秀でハングリーな学生が多い」と説明する。

また、韓国籍社員を採用するメリットの1つとして「サムスンやLGといったグローバルに展開している韓国企業のRMとしての貢献が期待できる」ことを挙げる。「そういった企業を、北米や欧州に駐在しながら担当することもありうる」と話す。同社に在籍する採用5年目の韓国籍社員たちは現在、「M&Aなどの高い専門性が求められる部署や、海外拠点の専門部署といった第一線で活躍している」そうだ。

若い世代は“反日感情”があまりない

日本の就職情報をどこよりも詳しく韓国語で提供している「月曜日の東京」というサイトがある。運営するHYPERITHMのイ・ウォンジュン代表(26歳)は「日本就労希望者は数年で2倍に増えた」と話す。

「月曜日の東京」の運営会社代表イ・ウォンジュン氏(右)と、共同運営者で外務省出身の西山洸氏(左)。

サイトでは日本企業への就労成功体験、生活体験、面接レポート、日本で働くうえでの心構えや企業文化についてなど、日本就労を目指す韓国人に欠かせないトピックスが網羅されている。楽天などに直接営業をかけて得た求人広告も掲載するほか、ヤフージャパン、東芝、デロイトトーマツコンサルティングなどに採用された韓国籍社員によるセミナーも開催している。サイトには月に約1万人が訪れ、関心の高さが窺える。

イ代表自身も、2年前に日本企業就職のため来日した。それを機に日本就労について個人的に相談されることが増え、需要の高まりを感じていたという。それで18年11月にサイトをオープンし、19年1月に就職斡旋事業として法人化した。共同運営者として、自らも日中韓台で就職情報サービスを展開する「シャングリラ」を運営し、これまで100人の韓国人を日本企業に就職させてきた外務省出身の西山洸氏も携わる。