フェロモンの正体

「20代の頃はモテたのに」「どうせオジサンはモテないよ」とぼやく中年男性の多くは、過去のデータ、つまり言語化された情報に頼りすぎ、女性の本能的な部分に訴えかける魅力を無意識下で封印してしまっています。

確かに「生殖能力」そのものは男女とも加齢によって減退しますが、脳が相手を魅力的と感じるかどうかは、生殖能力以外の要素も大きいのです。それが「フェロモン」とも言うべきものでしょう。多くのオジサンはフェロモンが減退しているため、過去のマニュアルに従った「言語」でいくら口説いても、若い頃のようには「モテない」のです。

人間のフェロモンに関しては、まだ未解明の部分が多いですが、似た作用があるものとして有名なのが「オキシトシン」です。

オキシトシンとは主に脳の視床下部の神経分泌細胞で合成され、下垂体後葉から分泌されるホルモンのこと。別名「抱擁ホルモン」「幸せホルモン」などとも呼ばれています。

女性は子供を産むとこのオキシトシンが盛んに分泌されるようになり、わが子に対して「愛おしい」という気持ちが強くなることがわかっています。つまりオキシトシンはストレスを減らし、愛情深く、幸せな気持ちを生み出すホルモンなのです。

「サッパリモテない」「男として見てもらえない」とお悩みの方は、このホルモンを上手に使う工夫をしてみてはいかがでしょうか。

「幸せホルモン」を意図的に分泌させる方法

男性の性衝動には、「テストステロン」というホルモンが関係し、このホルモンの分泌量は加齢によって減少します。そのため若いときほど性欲を感じなくなります。このテストステロンと違い、オキシトシンの分泌は意図的に増やすことができるのが大きなポイントです。

『「モテ」と「非モテ」の脳科学』(菅原道仁著・ワニブックス刊)

たとえば、男女がお互いに「愛情深い気持ち」になっているときは、大量のオキシトシンが分泌されています。とりわけ盛んに分泌されるのは、「交際3カ月ごろまで」といわれています。しかし実際はそれ以降も、セックスのときはもちろん、軽くハグをしたり、手をつないだり、肩を抱いたりといったスキンシップで優しい気持ちになっているときに、多くのオキシトシンが分泌されています。

すでにパートナーがいる人は、ぜひスキンシップを増やし、オキシトシンの分泌量を増やす努力をするといいでしょう。ドイツの神経学者ルネ・ハーレマン博士の研究によれば、パートナーの浮気を防止する効果もあるとされていますから、末永く円満な関係を続ける1つの秘訣になるはずです。

また、オキシトシンは「添い寝」「マッサージ」「ぬいぐるみを抱く」「ペットをなでる」といった行動でも分泌が高まります。つまり、相手との関係に応じて、適切な方法でオキシトシンを増やせば、お互いが愛情深く幸せな気持ちになれるわけです。

若い女性がオジサン世代に求めるのは「安心感」「信頼感」。お互いのオキシトシンを増やすことが、「いくつになってもモテる男」「パートナーと長くいい関係を築ける男」の条件なのです。