いよいよ夏のはじまりの「立夏」。緑まばゆく、すべてが活発に動く季節とは裏腹に、心身の不調を訴える人が多くなるのもこの時期の特徴。その不調の原因と、養生法を教えます。

動植物が成長し輝き出すのと同じく、カラダの内部も活発に

5月6日~5月21日は立夏(りっか)です。立夏とは、新緑がまぶしく、五月晴れが続くさわやかな季節です。この季節には端午(たんご)の節句があり、鯉のぼりを上げたり、柏餅を食べたりする風習があります。柏の木は新芽が出るまで葉が落ちないことから、家系が絶えない縁起が良いものとされています。田んぼにも水が入り、カエルなどの動物たちも動きはじめる時期です。

一方、この季節は動物や植物が輝きはじめるのと同じように、カラダの内部も動きはじめます。ホルモンが活発に分泌されるぶんカラダは疲れますし、ホルモンの分泌が悪いと逆に体調をくずしやすくなってしまいます。そのため、食事のバランスをとるなど、規則正しい生活が重要となります。

立夏は、新緑まぶしく、まさに成長の初期段階。季節のはじまりの初候には、田んぼの水辺でカエルが鳴き始めるとともに、フジが咲き乱れ、ニンジンや金目鯛が旬を迎えます。端午の節句では、菖蒲湯(しょうぶゆ)に入る風習がありますが、菖蒲の茎には保温や血行促進の効果があるので、立夏とはいえまだ冷えやすいカラダを温めるための風習といえます。

季節が進む次項では、ミミズが土の中から出てきたり、ホオジロの鳴き声が聞こえたり、イチゴやイサキが旬を迎えます。

終わりである末候にはタケノコが芽を出し、ボタンの花が咲き、アサリが旬を迎えます。この時期になると田んぼに水を張り、苗を植える準備をはじめることになり、いよいよ夏が深まっていきます。

皮膚トラブル、動悸・不整脈、めまいに注意を!

立夏は夏のはじまりであり、紫外線がとても強くなります。この時期の肌はとても弱く、皮膚が弱い人は皮膚のトラブルを起こしやすくなることから、UVケアはもちろん、保湿剤や乳液を塗るなどの肌を乾燥させないよう対策をとりましょう。端午の節句に入る菖蒲湯は、保温・保湿効果があることから、まさに紫外線対策としても有効です。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/PRImageFactory)

また、新芽が芽吹くようにカラダの内部も活発に動き始め、ホルモンのバランスが乱れやすくなる時期です。とくに若返りホルモンとして知られる成長ホルモンは、就寝から2時間経過するころから分泌されはじめ、夜中の3時ごろにピークを迎えるため、遅くても深夜0時までには寝るようにして、カラダの新陳代謝を高めましょう。

立夏には、心臓の動きも活発となり、動悸や不整脈が起こりやすい時期でもあります。そのため、疲れやすく、めまいやふらつき、物忘れが多くなります。

その一方、気候が良くなり、周りの人が活発に動き始めることから、自分だけがついていけないことに焦りを感じてしまう人も。「頑張らなければ」思うほど、かえってカラダも、ココロも疲れさせてしまうので、この時期は焦らず、心身を落ち着けることが大切です。