日本のキャッシュレス化の未来

【原田】そこが「Alipay(アリペイ)」と「WeChat Pay(ウィーチャットペイ)」の2つのサービスに集約されている中国の現状とは違うところだね。中国も初期は乱立していたようだけど、日本も早く今の中国のようにいくつかに集約されるべきだね。これだけ乱立していると、若者としては「たくさんあるし、よくわかんないから別にいいや」となってしまう。

ただ、「荷物を軽くしたい」とか「会計の煩わしさから脱したい」とか「割り勘を気軽にしたい」といった若者たちの志向とキャッシュレス決済の親和性は本来高いはずなので、若者たちにはキャッシュバック以外のインセンティブで「とりあえずある期間以上体験させる」機会を作ることが、キャッシュレス決済業者には求められていることなんだろうね。

今日の高校生、大学生の皆の意見には、日本のキャッシュレス化を進めたいと思っている日本政府やキャッシュレス決済業者にとって大変多くのヒントが含まれていたと思うけど、彼らがどこまで本気で若者を見て、彼らがどれだけ本気でこの文章を読解できるかに日本のキャッシュレス化の未来はかかっていると思いますね。

やっぱり、多くの変化は、変化を受容しやすい若者世代から起こることが多いので、日本全体が高齢化する中、政府も業者もちゃんと若者と向き合えるといいですよね。

原田曜平(はらだ・ようへい)
サイバーエージェント次世代生活研究所 所長
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年12月よりサイバーエージェント次世代生活研究所・所長。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『さとり世代』『ヤンキー経済』『これからの中国の話をしよう』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」、日本テレビ「バンキシャ」レギュラーとして出演中。
(構成=稲田豊史、撮影=プレジデントオンライン編集部)
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