国会議員を続けるうちに大きな勘違い

丸山氏や上西氏が2012年に初当選できたのは、維新の看板があったからである。彼、彼女は大阪において何の政治実績もなかったし、有権者の誰も、両名の名前など知らない状況だった。当時、大阪においては維新の会という政党は確たる力を持っていた。前年2011年に僕が大阪市長に当選し、松井一郎現大阪市長が大阪府知事に当選した大阪ダブル選挙は、既存の政党とガチンコでぶつかった壮絶な選挙だった。その半年前の統一地方選挙においては府議会では維新が過半数議席を獲得し、大阪市議会でも圧倒的な多数の第一党になった。

このような選挙の大勝利を収める1年前に大阪維新の会を結成し、夥しい数の街頭演説や住民説明会を繰り返した。この大阪維新の会という政治グループを結成できたのも、その前から続けてきた大阪改革の成功が主な要因であり、そのために莫大なエネルギーを費やしてきた。

金も組織もないところから、既存の政党とガチンコでやり合える政党を作ることがどれだけ大変なことか。今の国政の野党は、安倍自民党にまったくかなわない状況だが、大阪においては自民党・公明党どころか、そこに旧民主党や共産党までがひっついても維新にはかなわない。維新がこのような存在になるまでには、それはそれは維新のメンバーのひたむきな努力が積み重ねられてきたんだ。このような経緯を丸山氏や上西氏は十分に認識していない。

(略)

維新の会以外の他の政党は国会議員が頂点に立つ。その下に地方議員が連なるという形だ。ゆえに政治の世界では国会議員が「偉い」ということになる。

しかし、維新の会においては、府議会議員、市議議会議員と国会議員はまったく同じ並びだ。議員という立場で同じ。ただ携わる仕事が異なる、という感覚だ。

ゆえに維新の大阪本部で行われる全体会議では、国会議員だけがちょっとVIP的な席に座るなんてことはない。

ここは、大阪維新の会の府議会議員、市議会議員から国会議員になった者はよく分かっている。もともと同僚としてやってきた大阪維新の会のメンバーに対して、国会議員になったからといって偉そうにすることはない。

しかし、地方議員を経ずに国会議員になってしまった者は大きな勘違いをしていくことになる。