これからの日本はどうなるのか。事業家・思想家の山口揚平氏は「マジョリティとマイノリティの比率が逆転し始めている。経済の中心はタテ社会からヨコ社会へと変わり、そこではお金よりも信用や文脈が重視されるだろう」と予測する――。

※本稿は、山口揚平『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

小さなコミュニティへの回帰が始まった

お金が信用という本質に回帰するように、社会もまたその姿を変えつつある。それは社会の最小単位である小さなコミュニティ(共同体)への回帰である。「ソサエティからコミュニティへ」。それが一つの標語となる(図表1)。

単一社会は溶け、コミュニティが乱立する(画像=『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法

これまでの日本社会は単一価値観のモノ・ソサエティ(単一社会)であった。右に向いたら全員が右、左だと言えば全員が左を向かなくてはならなかった。高校から大学へ進学し、卒業したら会社に入ってやがて出世し、家を持ち家族を養う。暗黙の了解でそうした単一的な人生のレールの上を歩く生き方が良しとされていた。

強烈な同調圧力が支配する一方でグローバル化は進み、さまざまな生き方を志向する人が増えてきた。結果、一つの価値観やライフスタイルで統一することは困難になってきた。

これまでの王道を生きてゆく人をマジョリティと言うのであれば、王道から外れた生き方をしている人はマイノリティと言われる。

今起こっていることはこのマジョリティとマイノリティの比率が逆転し始めているということだ。

マイノリティの革命が始まっている

日本のマジョリティ層は、正規雇用労働者や従業員1000人以上の会社での勤務者、専門職、公務員およびその家族であり、マイノリティ層はニート(疾病ニート、コミュニケーション障害ニート、高学歴ニート等)、若年派遣労働者、LGBT、シングルマザー、独居老人、年収200万円以下の人たちである。車いすを使う人や働いていないニートの比率も、中年を中心に急激に高まっている。LGBTQも実際には50種類くらいあると言われている。つまり性的な指向も多様化しているのだ。

マジョリティとマイノリティの比率は今や、マジョリティが6だとすれば、マイノリティは4くらいにまでなっている。そのことによってマジョリティは日本全国を単一価値観のソサエティで治めることができなくなっている。

マイノリティはそれぞれ小さなコミュニティを作り、今はそこで静かに時を待っている。ソサエティという大きな社会にくるまれたマジョリティとの戦いに備えて。

ではこのマジョリティに対するマイノリティの革命はどのような変化を呼び込むのだろうか。