完全な1強状態「マラソン選手ほぼ全員ナイキ」
2017年春に本格デビューしたナイキの厚底シューズが世界のマラソンシーンを劇的に変えている。
昨年(2018年)のワールドマラソンメジャーズ6大会(男子)は、5大会(東京、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨークシティ)でナイキ勢が1位になった。1位がナイキを履いていなかったのは、アシックスを履く川内優輝が制したボストンマラソンだけだった。
2017年と2018年のワールドマラソンメジャーズのトップ3の男女合計72人のうち、ナイキの厚底「ズーム ヴェイパーフライ 4%」(フライニットなども含む)着用のアスリートは42人で、ナイキの厚底を履くランナーが表彰台の約58%を占めたことになる。
ナイキ勢は、勝負に強かっただけではない。
「厚さは速さだ」のコピー通り、記録を次々塗り替える
「厚さは速さだ」というキャッチコピーをぶちあげて、次々とタイムを塗り替えた。昨年2月の東京で設楽悠太(Honda)が2時間6分11秒、同年10月のシカゴで大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)が2時間5分50秒。日本記録を2度も更新すると、リオ五輪男子マラソン金メダリストのエリウド・キプチョゲ(ケニア)が驚異的な“世界記録”を叩き出している。
昨年9月のベルリンで従来の記録を1分18秒も短縮する2時間1分39秒をマーク。2017年5月に行われた「BREAKING2」という非公認レースでは、42.195kmを2時間0分25秒で走破するなどナイキの厚底シューズを履いて、人類の“可能性”を飛躍的に向上させた。
2019年に入っても厚底フィーバーは止まらない。
3月の東京では、2時間4分48秒で独走したビルハヌ・レゲセ(エチオピア)をはじめ、上位5位までがナイキの厚底シューズを履いていた。日本勢では5位の堀尾謙介(中央大学)、7位の藤川拓也(中国電力)、9位の高久龍(ヤクルト)も同シューズ。さらに第1集団でレースを進めた大迫傑、中村匠吾(富士通)、佐藤悠基(日清食品グループ)も同シューズで出走していた。