ゆるやかな業績回復も、電機大手は黒字確保が精一杯で、売上高は軒並み減収に。業績と連動するボーナスの減少が進み、賃上げもままならず、年収の下げ止まり気配なし。

業績回復の要因はリストラ効果!

業界大リストラ。NEC2万人超削減、ソニーは工場売却へ
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業界大リストラ。NEC2万人超削減、ソニーは工場売却へ

世界同時不況による業績悪化を受けて、電気・精密機器業界の年収水準はほとんどの企業が“全滅”状態にある。最悪の2009年3月期決算以降、徐々に業績は回復に向かうが、その要因は雇用調整を含む人件費の抑制や事業構造改革による経費削減効果によるところが大きい。

NECはグループ全体で2万人超の削減を打ち出し、ソニーも人員削減をはじめ、滋賀県の液晶工場の京セラへの譲渡やメキシコのテレビ工場の台湾メーカーへの売却など構造改革を推進。3300億円の経費を削減した。

日立製作所は国内の全社員約4万人を対象に月1回の無給休日を設けて賃金を削減する一方、宮崎県のプラズマパネル工場の土地と建物を昭和シェル石油に売却するなどリストラを加速した。

10年3月期決算では経費削減と政府の後押しによるエコポイント制度やエコカー減税によりなんとか黒字は確保したものの、電気大手9社の売上高は減収を余儀なくされた。先行き不透明な状況が依然として続いている。

こうした業績不振はボーナスに大きく影響する。電気の年収で凋落が著しいのがソニー。980万円から865万円と115万円減少した。08年のボーナス229万6000円(年間)から09年152万6500円と一挙に下がった影響が出ている。他の大手も前年実績比0.8~1カ月超のマイナスであり、金額にして22万円前後から37万円も減少し、年収を押し下げた。

100万円以上減少した企業はソニーだけではない。10年3月期決算では、半導体デバイスの世界的需要低迷や液晶パネルメーカーの設備投資抑制の影響を受けて赤字を余儀なくされたニコンは840万円から163万円減の676万円にダウン。

大幅な落ち込みは高年収企業のキーエンスも例外ではない。07年の1397万円をピークに減少。08年は1135万円、09年は1008万円。辛うじて1000万円台をキープした。同社の高年収を支えているのは給与と賞与以外に支給される「業績賞与」の存在だ。業績賞与は営業利益の一定割合を基本給に応じて支給するが、手当のような低い金額ではない。業績賞与は毎月の給料に加算されるうえ、夏・冬の賞与にも上乗せされる。

しかし、08年の売上高2007億円、経常利益1050億円をピークに、10年は1362億円、経常利益595億円にまで低迷し、業績低下に連動する形で業績賞与も下がった結果が年収減につながっている。