ボーナスだけではなく基本給が下がる現実
業績しだいで賞与が極端に減少する現実をまざまざと見せつけられた形であるが、日々の生活を支える毎月の給与も決して安泰ではない。一般的に給与は定期昇給により、一つ年をとると上がっていくが、近年は賃上げ(ベースアップ)がないためにほとんど伸びてはいない。
たとえば電気大手の開発・設計職(30歳相当)の基本賃金は07年まではわずかに伸びていたが、08年、09年は横ばい状態にある。09年の主な企業の個別賃金は以下の通りだ。
富士通 31万1800円
NEC 32万500円
シャープ 31万1200円
パナソニック 32万9300円
また、ソニーの06年の基準内賃金(賞与ベース)は38万3000円(37歳、勤続13.5年)だったが、08年は38万2000円に減り、09年はさらに38万円に落ち込んでいる。賞与の変動はあってもベースとなる賃金水準が下がれば生活水準の低下も避けられない。
では今年の給与はどうなるのだろうか。すでに今年の春闘では電気・精密大手はベア要求を見送ったため、給与水準は前年と変わらないままだ。期待されるのは賞与であるが、主な企業の2009年との増減は以下の通りだ。
三菱電機 144万5000円→141万8000円
富士電機グループ 122万6500円→126万1000円
シャープ 132万9500円→145万8000円
日立とシャープが前年度を10万円程度上回っているが、三菱が漸減、富士電機が漸増というレベルにとどまる。他の企業は会社業績で自動的にボーナス額が決まる業績連動方式であり、2010年度の業績しだいで決まる。
電気各社は本格的な業績回復に向けて環境・エネルギー分野での収益拡大を狙う。パナソニックは子会社化した三洋電機と組んで太陽電池の生産を強化する一方、電気自動車用のリチウムイオン電池の開発も進める。シャープも太陽電池の生産拡大に取り組む一方、中国での太陽光発電所の建設計画も進める。
しかし、一方では好調の中国経済が減速傾向にあり、加えて円高が収益を圧迫。2010年度も年収減に歯止めがかかりそうにない情勢だ。
※すべて雑誌掲載当時