平日3時間、土日で10時間勉強
「TOEICを人事評価の基準にするなど、企業が社員の英語力を評価する流れ自体は、もうとまらないでしょう」
こう語るのは、TOEIC受験力UPトレーナーとして知られるヒロ前田氏だ。前田氏は、ごく一部の企業で高得点を求める傾向も出始めたと語りつつ、まだ多くの企業がスタートラインとする点数は変わっていないという。それが「600点」だ。
今回、プレジデント誌では学習によってTOEICの点数が100点以上アップしたビジネスパーソン500人を対象に、アンケート調査を実施した。そのうち、学習前に600点未満だった人は、388人と8割近くを占めた(図1)。また、「昇進の条件として求められる点数」についても聞いたところ、最も多かった回答はやはり「600点まで」で、全体の27%を占めた(図5)。
600点というのはあくまで基礎的な力でしかなく、ビジネスで十分に生かせる英語力とは言えない、と前田氏は続ける。
「まず考えるべきことは『なぜ会社が社員に英語力をつけさせようとしているのか』ということ。海外展開を進めたいのかもしれませんし、事情は会社によって違うでしょう。会社が本質的に求めている英語力を理解し、その第一歩がTOEICなのだという認識を持つことが大事です」
では、その第一歩であるTOEICの点数を上げるために、必要となる「基礎的な力」とは具体的にどんなものなのか。
「まずベースとなるのは、語彙や文法の知識ですね。英語の基本となる単語とルールを把握できているかどうかです。600点は『基礎が6割できているレベル』。スタートが400点としても、600点は半年の学習で取れるでしょう。1年はかかりすぎといってもいいほどです」
アンケートでも、「学習期間」は「半年未満」が43.6%と約半数となっている(図3)。
「平均的な勉強時間」については、「休日まとめて3時間未満」が24.1%と最も多い。「毎日30分~1時間未満」が18.2%で続く(図4)。
「正直、勉強時間としては物足りない。できれば平日3時間、土日で10時間。そうすると月に大体100時間勉強することになります。勉強する内容さえ間違ってなければ、それで600点は半年かからずクリアできると思います」