義務づけられた1日3回のツイート

僕がSNSを使うようになったきっかけは、ライフネット生命を起業して3年ほどたった2010年頃です。20代の社員から「今日からツイッターをやってください」と指示されたのがきっかけでした。同じ金融業界の、銀行の頭取や生命保険会社、損害保険会社の社長を調べてみると、誰ひとりツイッターをやっていなかったようで、「出口さんがやれば差別化になる」というのがその理由でした。

SNSは苦手と渋っていたら、「出口さんはいつも『ライフネット生命は小さなベンチャー企業だ。大手と同じことをやっても負けるから、違うことをやれ』と言ってますよね。まさか有言不実行じゃないですよね」といわれてしまいました。反論のしようがなかったのでツイッターを始めることにしたのです。

当初、ツイートは1日3回以上というノルマを与えられました。最初は何をつぶやいたらいいのかわからず、部下に聞いたり友人のツイートを参考にしたり。まずはランチのことやその日の予定などからツイートし始めました。とにかく発信することが大事だったのです。

初めの2カ月ほどは、僕がちゃんとツイートしているかどうか、部下が毎日チェックしていました。サボると叱られるので、そのうち習慣になりました。そしてツイッターに慣れてくると、同じ理屈で今度はフェイスブックを始めるよう指示されました。といっても、発信する内容はほぼツイッターと同じで、出版社から献本があったらメッセンジャーでお礼を伝えるとか、イベントページで飲み会の出欠を回答するとか、そういう使い方が主です。

ノートパソコンは絶対に持ち歩かない

スマホにはLINEやインスタグラムも入っています。ライフネット生命にいた頃は、LINEで秘書に連絡していました。インスタグラムは家族との連絡に使っています。仕事の連絡はメールが基本ですから、どちらも目的を限定して利用しています。

最近は電車のなかでノートパソコンを開いている人をよく見かけますね。でも僕は、ライフネット生命の頃から、一度もパソコンを持ち歩いたことはありません。生命保険会社の経営者は、ノートパソコンにも重要な情報が山ほど入っているからです。万が一落としたり盗まれたりしたら大ごと。どれだけ気をつけていても、事故や急性の病気で気を失うことだってありえます。

そうしたリスクを考えては、職場か自宅でしかパソコンは使っていません。第一、軽量化が進んだといってもまだまだ重いですし、簡単なことはスマホで代用できますから。