仕事内容の発信や連絡手段など、公私ともに便利なSNS。一方で、周囲の反応を気にして「SNS疲れ」を起こす人も多い。立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明氏は「僕にとってのSNSは人とのご縁をつなげるツール。マイルールをつくって使っている」という――。
立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明氏(撮影=大槻純一)

SNSは本当は苦手です

僕がツイッターやフェイスブックを利用していると、周りの人からは「意外だ」とよくいわれます。たしかに僕はSNSのようなツールは、本来は苦手なタイプです。それでも現在は、ほぼ毎日SNSで何かしら情報を発信しています。数行の文章を投稿する、目にとまった記事のシェアをするなど、大体1日に3回くらいですね。

ツイッターやフェイスブックを利用するのは、大学に通勤するときなどの移動中がほとんどです。それも、電車やバスで座れなかったときに限ります。座れたら本を読むからです。

だから立ったままスマホを操作することになります。まずは仕事のメールに目を通し、必要ならすぐに返信して、それでもまだ時間が余ったらSNSを開く。あくまで隙間時間ですから、平均すると1日合わせて15分くらいでしょうか。それ以外にSNSを開くことはまずありません。

他人の投稿はほぼ読まない

こんなことをいうと叱られるかもしれませんが、他人のSNSの投稿はほとんど読みません。というか読んでいる時間がないのです。僕にとってのSNSは、基本的に情報発信のツールなのです。現在、ツイッターのフォロワー数は約11万7000人、フェイスブックのフォロワー数は約1万2000人います。

連絡手段としてメッセンジャーを利用することもあります。最もやりとりが多いのは、僕が学長を務める立命館アジア太平洋大学(APU)の学生たちです。

学長室もいわゆるオープンドアの考え方で、学生の訪問はいつでも歓迎しています。それでも実際に訪ねてくるのは年に100組くらいなので、ツイッターなどでコミュニケーションをとるほうが圧倒的に多くなります。「この催しに来てください」「お会いしたいので、この日の都合はどうですか?」などのメッセージが、ダイレクトにどんどん送られてきます。

フォロワーの中には学内の教員や職員もいて、年齢は僕より若い人が大半です。

企業のトップの方は、実際にお会いすることはあってもSNSを利用する人はわずかなので、ほとんどつながっていません。もっとも、フェイスブックの友達申請は、すべて受け入れていたらすぐに上限の5000人に達し、新たな申請が受けられなくなってしまいましたが。