「捜査対象者の性癖を調べるために使われていた」

報道によると、捜査当局はCCCからTカードの会員情報(氏名、生年月日、住所)、ポイント履歴(付与日時、ポイント数、企業名)、レンタル日、店舗、レンタル商品名のほか、店舗の防犯カメラ画像を入手することができた。

では、CCCからの情報を捜査当局はどのように活用していたのか。CCCを取材している大手メディアの社会部記者は驚くべき実態を語る。

「これは、警察と検察の幹部が両方認めていることですが、レンタル商品名は捜査対象者の性癖を調べるために使われていました。たとえば、痴漢系のAVばかりを借りていたら、この人にそういった行為に興味があるのかもしれないと目星をつけるわけです。出演している女優が極端に若いふりをしている作品や小中学生が水着になっているグラビアものを多く借りていたら、『児童性愛の趣味があるのかもしれない』と、捜査における参考情報にするのです」

つまり、警察や検察は裁判所の許可を得ずに、Tカード利用者の性的嗜好を調べることができたのだ。例え、映画やドラマといった一般的なDVDでAVを挟み、“サンドイッチ”にしてレジまで持っていったとしても、警察にはすべてお見通しだったのだ。さらに、捜査当局は防犯カメラ画像も入手できたということなので、そんな恥ずかしい行動も全部見られてしまっていた可能性もある。

「何らかのルールづくりは必要ではないか」

野澤弁護士は「裁判所が『やむを得ない』と判断したうえで、何のDVDを借りていたのかを警察に知られてしまうのは、捜査上仕方がないことなのでしょう。しかし、令状すらなく、警察官が“気になった人”の性癖を調べてしまうことに対しある種の怖さを感じる人は多いはずです。個人情報の取り扱いに対し社会が敏感になっているいま、何らかのルールづくりは必要だと思います」と話す。

個人情報保護法に詳しいひかり総合法律事務所の板倉陽一郎弁護士も、「個人情報保護法に違反するかどうかでいえば、CCCの情報提供は法令に基づいた手続きなので違法ではありません」と述べる。