親の役目は、子どものOSのスペック向上

たとえば「スタディサプリ」なら月額1000円程度で、主要教科を実力ある先生方が教えてくれます。今後、内容が充実してくるのは確実です。最近では、これをベースにして、独学で、受験に成功している例も多く出始めています。

タブレット化は教育界の大きな流れですが、まだ黎明期にある授業動画サービスとどう付き合うか。まずは1カ月のトライアルをお勧めしています。1~2週間では目新しさだけで持ってしまう。ちょうど飽きてくるのが1カ月です。向いていないようならスパッとやめましょう。料金が格安ですから、痛手は少なくてすみます。ハマるようでしたら、塾や家庭教師と組み合わせて考えてもいいでしょう。

教育にかかるお金の話は、家庭内でも聖域とされているくらいですから、外部の人間がとやかく言えるはずもありません。ただ私の考えの中には、子どもたちが楽しく学べるならそれが一番という大前提があります。どんな世界でも生きていける子にしたいなら、脳の土台、つまりパソコンでいうところのOSのスペックを上げることが最重要です。

学校の勉強はソフトやアプリに相当しますが、それらをいくらダウンロードしたところで、考える力や創る力の土台となるOSのバージョンが低ければ、フリーズしてしまい能力を発揮できません。いかにOSのバージョンを上げるか、そのために最適な学校はどこかを考えていくことこそ、子どもの教育を考えるときに最も重視すべきポイントといえます。ある子どもにとっては先取り教育をする私立の学校かもしれませんし、ある子どもにとってはじっくり学べる公立の学校かもしれません。

そして、必ずや“図らずも”の出費は発生します。まだ子どもが小さいなら、転ばぬ先の杖として学資保険を活用するなど、何らかの形で教育費をコツコツと貯蓄しておけば、役立つときがくるでしょう。

打つべき一手:タブレット化は大きな流れ。授業動画を1カ月間試してみよう

石田勝紀
教育デザインラボ代表理事
1968年生まれ。20歳で学習塾を起業。都内中高一貫私立校常務理事、文部科学省高校生留学支援金制度の座長などを歴任。母親を対象とした勉強会「Mama Cafe」を主宰。『新時代の学び戦略』ほか著書多数。
(構成=小澤啓司 撮影=初沢亜利)
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