例えば、所得330万円~695万円以下(所得税率20%)の方が、同商品を毎月2口(1万円)、5年間積み立てし、満期の10年まで待った場合、払込総額は60万円。満期の払戻額61万8000円となります。5年間、8000円(一般生命保険料控除の額4万円×20%)の所得税の軽減措置が受けられ、払込保険料と満期保険金の差額とあわせて、ほぼノーリスクで6万円近くおトクとなるわけです。

保険会社としては、まったくの丸損

ただし、保険会社としては、出血サービスであるドアノック商品に加入されるだけで終わると、まったくの丸損です。

そのため、ドアノック商品の多くは、申し込みがインターネット等ではできず、営業職員等との対面での加入が必須となっています。

営業マンとの面談時に自分の環境や収入などを聞かれ、流暢なセールストークを聞いているうちに、言われるがままに必要のない保険にまで入ってしまった……ということもあるかもしれません。

保険会社も慈善事業ではなく、営業のプロが応対してくるわけですから、「とりあえずおトクだからドアノック商品だけ入っておこう」という考えはお見通し。意思を貫くには、強い覚悟や、トークから営業側の意図を読み取る力も必要になるでしょう。

また、既加入の保険をおトクにする方法もあります。

それは、保険料の払込方法を工夫すること。一般的に、保険料は、月払い、半年払い、年払いなどがあり、まとめて払ったほうが保険料は割安になります。さらに、キャッシュに余裕があるなら、将来の保険料を1回で払い込む全期前納や一時払いもさらにオトクです。また、クレジットカードを利用して保険料を払うことができる場合もありますので、ポイントを貯めるのも一手でしょう。

制度をしっかりと理解すると、身の回りにチャンスは広がっていくはずです。

黒田尚子
ファイナンシャルプランナー
CFP1級FP技能士。日本総合研究所に勤務後、1998年にFPとして独立。著書に『50代からのお金のはなし』など多数。
(写真=iStock.com)
【関連記事】
クレカ"ランチ使えません"の店で使う方法
裕福になりたければ「健康」に金をかけろ
「がん患者が子供を産む」は無理なことか
愛妻をがんで亡くした東大外科医の胸中
知らないと損する「医療費控除」の仕組み