人生100年時代が到来するが、長生きにはお金が必要。そんな長生きリスクに強いのが年金だ。年金だけで生活は何とかなるのか、離婚や死別があっても大丈夫か、専門家に話を聞いた。

年金だけで、老後は暮らせるか

老後に金持ち夫婦になれるか、貧乏夫婦になってしまうか。それは老後資金のベースになる公的年金によるところが大きいといえます。その年金の額は加入期間や現役時代の収入によって計算されますが、夫婦単位で見た場合、最も大きい変動要素は共働きか、専業主婦家庭か、です。専業主婦家庭と共働き夫婦に分けて、支給される年金を見ていきましょう。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Koji_Ishii)

まずは老後に受け取る「老齢年金」です。Aさん夫婦は共働きで、20歳から国民年金、23歳のとき大卒で就職し、厚生年金に加入しています。夫婦は同じ年で、生涯の平均年収は500万円とします。対して専業主婦家庭のBさん夫婦では、夫の加入状況はAさん夫婦と同じ、妻は厚生年金加入期間はなく、結婚後に第3号被保険者となっています。

共働きのAさん夫婦が受け取れる年金は1人あたり年額で、老齢基礎年金(国民年金)の78万100円と、厚生年金101万4000円の計179万4100円。夫婦の合計は358万8200円、月額では29万9000円です。

対して専業主婦家庭のBさん夫婦は、夫の年金はAさんと同じですが、妻は老齢基礎年金のみで、夫婦の合計は257万4200円、月額では21万4500円です。

共働きのAさん夫婦と専業主婦のBさん夫婦でもらえる年金額の差は、年間約101万円、月額で約8万5000円であることがわかります。

ここで、皆さんが気になるのは、そもそも公的年金だけで生活していけるのかということでしょう。

高齢者夫婦の平均的な支出は月額約28万円といわれています。したがって、共働きのAさん夫婦の場合は、年金だけで基本的な生活費は賄えます。年金の支給は基本的には65歳からなので、60歳の定年後から支給の開始までに不足するお金と、医療や介護にかかるお金、自宅の修繕費、ゆとり費など、生活費以外の支出に備えたお金があれば大丈夫です。