対して専業主婦家庭のBさん夫婦は毎月約6万5500円が足りません。平均寿命に近い90歳まで生きるとして、65歳から90歳までの25年間で、生活費だけでも1965万円足りない計算になります。生活費を切り詰めたり、老後までにお金を貯めておく必要があります。
専業主婦の家庭で老後資金が不安であるなら、妻は今からでも働いて厚生年金に加入し、年金を増やすのが得策です。というのも、金融資産は使うごとに減っていきますが、年金は生涯受け取ることができるため、長生きにも対応しやすいという強みがあるからです。この年金を増やすことが「貧乏夫婦」にならないための秘訣です。年金はもらうものではなく、「つくるもの」という考えを持つことが大切です。
熟年離婚の先に貧乏老後の未来あり
近年は熟年離婚も珍しくないと感じるようになりました。離婚をすると老後にもらえる年金はどうなるのでしょうか。結論からいえば、離婚すると年金の一部を配偶者に分ける「年金分割」という制度があります。
ただ、離婚を考える妻の中には、「夫の年金の半分がもらえる」と思っている人が多いのですが、国民年金部分は年金分割の対象にはならず、分割されるのは「結婚していた期間に支払った厚生年金の保険料に相当する年金額」の最大2分の1まで。
例えば平均年収600万円の夫と、同400万円の妻が20年の結婚生活を経て離婚し、2分の1を分割する場合、年収が高い夫から妻に年額10万9600円を分けることになります。ただし、年金分割は両者の合意が必要です。
一方、専業主婦のDさん夫婦では、妻に分割されるのは年額27万4100円。妻自身の国民年金と合わせてもらえる年金の月額は8万7900円です。多額の資産がない限りは生活は困難ですし、夫の年金も月額12万6700円で、2人には「貧乏老後」が待ち受けています。
“共働きだから安心”に潜む落とし穴
最近は夫婦共働きが増えて、家計を夫婦2人で支えていることも珍しくないでしょう。このときに注意したいのは、あまり考えたくはありませんが、不幸にも死別してしまう場合です。残された方ご自身の老後のこともありますし、子どもがいる場合は養育費の負担が重くのしかかってきます。
そうは言っても、遺族には「遺族年金」が支給されますから、生命保険にお金をかけすぎないように気をつける必要があります。しかし、「遺族年金」があるから大丈夫と安心してはいけません。具体的に遺族はどれほどの年金を受け取ることができるか見ていきましょう。