「歯科医師は儲かる」は過去の話で、いまや大半の歯科医院の経営は苦境に追い込まれている。そうした実態を数々のデータをもとに読み解いていく。

開設より廃止が多い逆転現象に

「歯科診療所の数はコンビニの店舗数よりも多い」――。こういわれて「えっ」と驚きつつ、自宅や会社の近所のことを思い浮かべて、納得のいく人が少なくないはずだ。

しかし、この現象はいまに始まったことではなく、かなり前からそうだったのである。図1にあるように、1993年時点での歯科診療所は5万5906カ所で、2万2852店のコンビニの2倍以上もあった。その差は縮まりつつあるものの、2017年時点でもコンビニより1万653カ所も多いのだ。

そうなるとコンビニ業界と同様に、歯科診療所の世界でも激しいサバイバル競争が繰り広げられていることが想像できる。歯科医師の数は10万人の大台を12年に突破し(図2)、「すでに飽和状態」(歯科診療所関係者)というのが、この世界での常識だ。一方、歯科診療医療費は長年2兆円台後半での伸び悩みが続いている(図3)。また、子どもたちのむし歯の被患率は減少の一途で(図4)、「患者数の増=市場規模拡大」を見込めそうにない。「経営は厳しく、将来展望も見出せない」(同)とのため息が聞こえてくるのも道理だろう。