このような歪みのある市場では、ETFのような指数連動型のインデックス運用より、指数を上回る超過収益を狙うアクティブ運用のほうが効果的と考えられる。アクティブ運用とは、企業の現在価値や将来価値から考えて割安な銘柄を買って株価上昇を狙うもの。企業価値が株価に反映されないなど、市場に非効率な部分があると割安な銘柄を生み出す。この市場の歪みが大きい市場、つまり新興国の市場であれば、アクティブ運用で超過収益を狙えるチャンスが大きい。

またアクティブ運用では、組み入れ銘柄が割高になれば売って別の割安銘柄に投資するなど、銘柄の入れ替えが行われる。新興国では割高銘柄の急落や急騰が起こりやすく、銘柄入れ替えによってリターン獲得のチャンスになる。一方の指数連動型においては、瞬時に銘柄が入れ替えられることはなく、暴落銘柄をも抱え込んで、市場に身を委ねるしかない。

なおアクティブ運用型のファンドでは、調査費用などが必要になることから、信託報酬(保有中、日々、資産から差し引かれる)が高いというデメリットもある。しかしコストは高くても、より高い運用成果を求められる可能性があるのだ。運用の優劣については、過去の実績を比較検討して選ぶといいだろう。

どの国を狙うかについて私が有望と考えているのは、BRICsへの総合投資。中国、インドは低コストに支えられる製造業に加えて中間所得層の増大により内需に期待がもて、ロシア、ブラジルには豊富な天然資源がある。成長の条件がバランスよく分かれているのが、BRICsの強み。商品としては、ファンド・オブ・ファンズである「日興BRICs株式ファンド」などが挙げられる。

新興国では値動きが大きいことは、昨年後半からの市場動向でも証明されている。投資する際には、投資タイミングを分ける時間分散も徹底したい。 

(高橋晴美=構成)