加湿器に入れる水は「水道水」がいい

加湿器を選ぶときは、値段やデザインだけでなく、加湿のシステムや構造も考慮して判断することが大切です。しかし、気化式や超音波式の加湿器でも、誰もが過敏性肺炎を起こすわけではありません。吸い込んだカビにアレルギー反応を起こす人だけに症状が出るため、気づきにくいのです。

生島壮一郎『肺炎に殺されない! 36の習慣』(すばる舎)

ふだんから肺や気管支が敏感な人は、できれば加熱式またはハイブリッド式の加湿器をチョイスするといいでしょう。

そして、どのタイプの加湿器であっても、しっかりメンテナンスをすることが大切です。取り扱い説明書に従って、吹き出し口や吸気フィルター、タンクなどの掃除はこまめに行います。

ちなみに、加湿器に入れる水は、浄水器の水ではなく水道水を使うことを奨めます。水道の水には消毒のための残留塩素が含まれており、細菌の繁殖を抑える作用があります。浄水器はこの残留塩素を除去してしまうので、飲用や調理には適していますが、加湿器には使用しないほうがいいでしょう。

人間は「鼻」から呼吸するようにできている

人間の呼吸システムは、鼻から呼吸することによって、効率よく酸素を取り入れ、全身の組織に送り込めるように設計されています。花粉が大量に飛散するこの時期、花粉症に悩む人は放置せず、適切な対策を講じてください。マスクやメガネ、衣服などの工夫で、できるだけ花粉を吸い込まないようにするとともに、花粉を室内に持ち込まないことも重要です。

近年は、眠くなりにくい新世代の抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬、副作用の少ない点鼻薬や点眼薬など、治療薬の種類も増えました。重症の場合は、医師と相談して舌下免疫療法も検討されます。

適切な治療で花粉症の症状を悪化させないように努め、鼻呼吸を心がけることが、肺の機能にまで影響することがあるというのは驚きです。このような臓器や組織で起きている相互作用こそが、生命現象のダイナミズムを生んでいるといえるでしょう。

生島 壮一郎(いくしま・そういちろう)
呼吸器内科医、産業医
1962年、鹿児島市生まれ。産業医科大学卒業後、日本赤十字社医療センター内科医員、呼吸器内科医員、同副部長、部長を経て現在は企業での産業医を主務としながら、日本赤十字社医療センターでの呼吸器内科外来診療も続けている。自身の手術後の治療と就労の問題に直面したことを契機に、約30年間の呼吸器疾患全般にわたる臨床経験をもとに診断・治療から予防医療、禁煙活動などに軸足を移して活動している。著書に『肺炎に殺されない! 36の習慣』(すばる舎)、『肺が危ない!』(集英社新書)がある。
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