もっと子どもとの時間がほしい。根木さんは秘書を辞め、義父のコネで大手IT企業に幹部待遇で転職した。そして一軒家も買った。「真人間に戻ろう」。そんな矢先だった。

「母親が体調を崩して……。1年くらい新居に住んでから、貸しに出して、私の実家へ引っ越し、両親と同居することにしたのです」

しかし、奥さんはその生活に耐え切れなかったという。月のほとんどは実家に帰るようになった。

根木さんは息子のことが心配で月20万円のお小遣いを奥さんに渡している。「正直何に使っているかはわかりません」。しかしたまに息子にあっても人見知りをされてしまう。

寂しさを紛らわせるため、秘書時代のように飲みに出てしまう。もちろん、今は完全自腹だ。すると、妻がいるときは少しずつ貯金できていたが「なぜか残高が減っていく」。

出費を抑えようと思っていても、ついつい一緒に飲んでくれたり、趣味のクラシックバレエを観にいってくれたりする人におごってしまう。

しかし子どもの将来のことを考えると「なんとかしないといけない」。今はまだお金がかからないが、学校に行き始めると変わってくる。少なくとも今の貯金額では足りない。それに今は親を頼っているが、今後親がどうなるかもわからない。

根木さんはモンモンと将来のことを考えては不安に思ってしまう。その不安を払拭するために夜の街で散財してしまうという、悪い循環にはまってしまっている。「もうどうしたらいいかわからない」。

▼FUKANO’S POINT
一番必要なことは奥さんと話し合いの場を設けること
今、根木さんに一番必要なことは、奥さんと話し合いの場を設けることです。家族の将来をどうしたいのかを考え、それに向けた計画を立てましょう。奥さんが専業主婦なら財布を渡して、自分が月20万円お小遣いをもらうというのもありだと思います。今のままだと年間300万円も遊興費に充てているので、ちょっと我慢すればすぐ貯金できるはずです。どうしてもお金を使ってしまうのであれば、iDeCoや低解約返戻金型終身保険に加入するのもありだと思います。また、少し遅いですが、子どもの将来が不安なら学資保険に加入して強制的に貯金することですね。
深野康彦
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルリサーチ代表。『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』『ジュニアNISA入門』など、著書多数。