やる気になって「毎日」走る人ほど挫折しやすい

スポーツメーカーのデサントと計測器メーカーのタニタが2013年に行った調査によると、ランニングを始めて6カ月以内に辞めてしまう“燃え尽きランナー”が67%にものぼることが明らかになっている。そのうち、開始当初のランニング頻度が毎日(24%)、2日に1回(21%)と高い多い者ほど挫折しやすい傾向が高かったのだ。反対に継続できているランナーは、3日に1回(38%)が最も多く、逆に毎日走っていたランナーは4%しかいなかった。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/ranckreporter)

また、ドラマ中に金栗が意識的にしている「スースー、ハーハー」という呼吸のリズムも気になる部分だ。少なくとも現代のトップクラスのランナーで、こうした呼吸法を実践している人は聞いたことがない。ランニングの呼吸法は奥が深く、実は「何が正解か」は意見が分かれるところだが、市民ランナーに最もいいのは「呼吸を特に意識しない」ことだろう。意識することで過呼吸になってしまう人もいる。走るペースによって、身体に必要な酸素の量は変わってくるが、楽しく走るためには、呼吸が乱れない“ニコニコペース”が基本。具体的には、会話できるくらいのペース・心拍数で走るのは理想的だ。

ランニングを継続するには「頑張らない」ことがコツ

ドラマを見て、走りたい気持ちがフツフツと沸いてきたら、どうしたらいいのか。

ランニングが継続できるように少しアドバイスしてみたい。まずマネをするなら中村勘九郎が演じる金栗四三ではなく、大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)や設楽悠太(ホンダ)ら日本のトップランナーを意識してみるといい。特に見習うべきは、上半身だ。

トップランナーと初心者ランナーとでは走る速度が大きく異なる。大迫や設楽はフルマラソン(42.195km)を、1キロ3分を切るような驚異的な平均速度で走破する。しかし、初心者ランナーは5kmというごく短距離を、大迫らの半分のペース(1キロ6分)で走るのも簡単ではない。だから、彼らの走りをマネようとしたことで、筋力や肺活量が違いすぎて、余計に走りが硬くなってしまう。

上半身の動きだけを意識して、その部分を自分の走りに投影させてみるといい。彼らの走りは肩の力が抜けており、楽に走っている印象を持つはずだ。ランニングは「リラックス」することが何よりも大切。その次に、上半身が前後や左右にブレないように視線を一定に保ち、重みのある頭がフラフラしないように気をつける。大迫らのように上半身のリラックスを手に入れることができれば、スムーズな走りにつながっていく。