ちなみに、薬局では処方日数を勝手に増やすことはできない。医師に相談し、OKとなった場合にはじめて可能になることだ。また、医師に処方せんを書いてもらえば、漢方薬も健康保険を使える。

「漢方薬は自費診療だと思い込んでいる人が多いのですが、医師の処方せんがあれば3割の自己負担ですみます。ただし、健康保険が使える漢方薬の種類は決まっていますので、医師と相談してください。また、街中にある漢方薬局などで店員に処方してもらっても健康保険は適用されません」(早川氏)

薬の処方は医師の判断が不可欠とはいえ、薬の専門家である薬剤師も頼りになる存在だ。最近では「かかりつけ薬局(薬剤師)」も登場し、相談にのってもらえる。

「かかりつけ薬剤師を指名すると、薬の管理・指導に関する料金が、通常の薬剤服用歴管理指導料ではなく、かかりつけ薬剤師指導料が算定されます。前者は、お薬手帳を持参すると120円、後者は220円で100円高くなります(3割負担の場合)。でも、高齢になりたくさんの種類の薬を飲まなければならないなら、多少高い料金を支払ってもかかりつけ薬剤師にお願いすると安心です。75歳以上で1割負担の人は、自己負担額も70円程度と割安なので管理してもらったほうがいいでしょう」(早川氏)

高齢になりたくさん薬を処方された場合の、飲み忘れを防ぐため、薬局がそれらを「一包化」する有料サービスもある。もし節約したいなら、サポートする家族が小分けにされた錠剤ケースに1日分ずつ整理する方法もある。

結論:院内処方より調剤薬局のほうが高いが、いろいろ相談できるメリットも

長尾和宏
医師、長尾クリニック院長
1984年東京医科大学卒業、大阪大学第二内科入局。95年長尾クリニック開業。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、指導医。『その医者のかかり方は損です』など著書多数。
 
 

早川幸子
フリーライター
女性週刊誌やマネー誌を中心に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を手がける。著書に『読むだけで200万円節約できる!医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』。