どんな人間でも失敗はしてしまう。緊急事態に陥ったとき、どんな「屁理屈」であれば、その場を切り抜けられるのか。今回、5つのテーマで実例を収集し、作家の架神恭介さんに考察してもらいました。第3回は「大事な会議に遅刻した」です――。

※本稿は、「プレジデント」(2018年12月17日号)の掲載記事を再編集したものです。

なんだかわからないが、只事でない状況をつくる

不可抗力にせよ、うっかりミスにせよ、われわれはこういった事態に直面します。会議室に飛び込み、皆の痛い視線に耐えながら縮こまって椅子に座り、会議後の上司の叱責に脅え続ける……会議は上の空で、発言もし辛くなり……。これでは全体の生産性が低下するだけです! スキルで乗り切りましょう!

写真=iStock.com/iryouchin

まず、伝統的な手法として「霧吹き」があります。会議室前に到着したあなたはスーツを適度に乱し、ネクタイを緩め、顔に霧を吹いて(トイレで顔に水を浴びるのも可)、息を乱し、「必死に走ってきました」感を演出しながら入室するのです。この手法はもはや古典芸能の域ですが、現在でも現に使用されており一定の効果が見込めます。

また、アンケートで寄せられた意見の中には、さらに発展的なテクニックもありました。コップに半分ほどの水を頭からかぶって入室するのです。頭から水を滴らせながら会議室に入ってきたあなたを見て、皆はギョッとし、「なんだかわからないが只事ではないことが起こったのだ」と想像します。後で理由を聞かれても、「いや、ちょっと……」と呟きながら目を伏せれば、それ以上、追及されないとのことです。何度も使える手ではありませんが、いざというときのために飛び道具として覚えておきましょう。