■検証!そのとき私はどう対処したか
高額療養費制度の自己負担には限度額がある
高額療養費制度をうまく活用したのは中堅商社の営業マンのAさん(53歳)だ。腹部に異変を感じた妻(47歳)が病院で検査を受けたところ婦人科系の病気が見つかり、医師は手術と1週間の入院(100万円)が必要と診断。そして運悪く長男の大学受験と重なり、ただでさえ慌ただしいのに出費がかさむことに。
会社の総務部から高額療養費制度と「限度額適用認定申請」を教えられ、早速、申請した。その結果、妻の退院時にAさんが病院に支払った金額は、9万円弱で済んだ。
「高額療養費制度には助かった。申請したおかげで長男の受験校を減らさずにすみました」とほっとした表情のAさんだが、そもそも「高額療養費制度」とはどのようなものなのか。
「企業の健康保険でも国民健康保険でも、健康保険には高額療養費制度があり、自己負担には限度額が設けられています。医療費が100万円であれば、限度額は〈8万100円+(医療費-26万7000円)×1%〉で計算されるので、8万7430円ですむ。前出のAさんはこのケース。3割負担で30万円払っている場合は、限度額を超えた部分の約21万円は払い戻される。ただし、これは健康保険の報酬月額が53万円未満の人で、53万円を超える人の場合は〈15万円+(医療費-50万円)×1%〉なので、限度額は15万5000円になります」(FP松浦建二氏)