医療保険に加入しておくのも一つの手
高額療養費制度では、被保険者や被扶養者が同月内に同一医療機関に支払った自己負担額が限度額を超えた場合に払い戻される。
「限度額適用認定制度」は、一時的であっても負担額が高額になるのを避けるために、会社に申請して健康保険から限度額適用認定証を交付してもらい、病院の窓口で限度額を超える費用は請求されないですむ制度だ。ただし、高額療養費制度は保険のきく範囲内での話で、保険のきかない費用は対象にはならない。
たとえば、個室を利用する場合の差額ベッド代や、ガン治療などの健康保険のきかない最先端の医療技術が該当する。特に後者は費用が数十万円から数百万円になるケースもあるが、医療費が高額になった場合に備えておくために医療保険に加入しておくのも一つの手だ。
医療費が年間で10万円以上かった場合は、医療費控除を計上でき、確定申告をすれば所得税額の還付を受けられる。自由診療でも対象のものがあり、医療費控除をしっかり利用したのがBさん(57歳)だ。
歯医者で40万円のインプラントを3本入れる治療を受けた。120万円支払い、10万円を差し引いた110万円を医療費として控除できるので、税率10%の課税所得だったBさんは確定申告したことにより、11万円の還付金を手にできた。
「柿の種が歯茎に挟まって痛かったため、インプラントにしたが、還付金が受け取れるのは嬉しい」
保険未加入でも蓄えが200万~300万円あれば十分対応可能
医療費控除は歯科に限らず、ほかの医療費の自己負担分や扶養家族の分、市販の風邪薬なども合算できる。
「高額な治療費の備えとして、医療保険を頼みの綱と考えている人もいるでしょうが、過剰に保障の厚い医療保険に加入する必要はない。現在、医療保険に全く加入していなくても、蓄えが200万~300万円あれば十分対応可能です」(FP松浦氏)
不慮の事態は突然来る。ある程度の蓄え、保険の加入などは必要と割り切った「備え」が必要だ。