ヤナセで年間100台以上メルセデス・ベンツを販売し、トップセールスとして毎年社内・メーカーの表彰を受ける高柴利之氏。商談、アフターフォロー、事務作業と、売れば売るほど仕事が増えるなか、どのようにスケジュール管理をしているのだろうか――。

勝負を決める2時間の企画タイム

学生時代は焼鳥屋でアルバイトをしていて、営業とは無縁の生活を送っていました。そんな私がセールスとして販売実績を積み上げてこられたのは、1年目に貴重な体験をさせてもらったことにあります。

ヤナセ 名谷店 セールスマネージャー 高柴利之氏

最初に配属されたのは神戸市須磨エリアの支店。当時は飛び込み営業が中心で、新人も例外なく外回りをしなければなりませんでした。しかし、高級輸入車を買っていただけるお客様がどこにいるのかはよくわかりません。そこで支店長に言われるがまま、指示されたエリアで飛び込みを始めたら、なんと1軒目で当時800万円ほどだったメルセデス・ベンツのEクラスをご購入いただけたのです。

本当にただの偶然でしたが、最初にラッキーパンチを放ったおかげで飛び込みに対する苦手意識を持つことはなく、1軒でダメなら2軒、2軒でダメなら10軒、10軒でダメなら100軒と躊躇することなく玄関のベルを押せるようになりました。量をこなしたことで1年目に飛び込み販売5台を含む41台を販売でき、新人賞を獲得。評価されたことで、営業という仕事がますます好きになりました。

しかし、量をこなすだけのスタイルではいずれ限界が来ます。私も、お客様の数が300軒を超えてきたあたりから壁にぶつかりました。新車セールスの仕事は、営業だけではありません。むしろ時間の多くを占めるのは、書類作成などの事務やアフターフォローの業務です。たとえば1年点検や車検の時期が来れば、段取りを組んでお客様の車を引き取りに行きます。また、予期せぬ事故や、バッテリー上がりなどのアクシデントにも担当者としてすぐに対応する必要があります。お客様の数が増えた結果、こうした業務が全体の9割近くを占めるようになり、営業する時間が減ってしまったのです。