アポキャンすると、アポキャンされる
私は朝、出社すると、アシスタントとのミーティングで一日のスケジュールを組み、メールすべてにざっと目を通したうえで、その中から期限が迫っていたり、時間がかかりそうな案件をピックアップし、手帳のスケジュール表に書き込みます。そうした“大物”を先に済ませ、お客様の誕生日ハガキに一筆添えたりする細かい作業を、空いている時間に行います。例えて言うならコップの中に大きな石をゴロッと入れ、その後に細かい砂をサラサラ流し込むようなイメージです。
スケジュールの管理は、スマホとアナログの手帳を併用しています。スマホだとスケジュールやメモ書きを断片的にしか見られないですよね。手帳だとパッと開いてすぐに一覧できますし、Day(その日1日のスケジュール)の管理は紙のほうが断然早いです。好きなようにカスタマイズできるのもいい。例えば、最近の商談に割く時間と自己投資に割く時間との比率を見ようとしたら、手帳ならそれぞれ色分けすればひと目でわかるから、圧倒的に早いですね。デジタル機器でデータから掘り起こして分析するのは、時間がかかってしまいます。スマホはスケジュールを同期して、アシスタントと情報を共有するのに使っています。
こうした時間管理の鍵となるのは、アポイントメントの取り方だと思っています。営業マンなら誰しも、損得勘定や人間同士の相性から、アポの優先順位をつけるときについつい感情が入りがち。かく言う私も、以前は優劣をつけていましたが、なぜか“鏡の法則”のようにお客様から同じことを、つまりアポをキャンセルされることが多かったんです。
そんなとき、ある経営者の著書の中で、「アポに優劣をつけない」という言葉が目に留まりました。例えば、先に解約や契約見直しのお客様のアポが入った時間帯を、別の新規契約のお客様が指定してきたとする。後者を優先したいが、それでも先に入れた解約のアポのほうを優先する。すると、仕事の流れがかえってスムーズになるというんです。なるほどと思ったんですが、アポをずらしたい一番の理由は「機会を逃したくない」という、営業マンとしては当然すぎる心理です。実行するのがなかなか難しかったですね。