その贈与は本当に必要なのか?

教育費に限らず、贈与全般に言えることですが、「子どもと孫、どちらに贈与するのが得か」を考える前に、まず「その贈与が本当に必要なのか?」を考えることが大切です。

まずは資産状況をふまえて、相続税を試算してみることをおすすめします。子どもは相続人で孫は相続人になりませんし、そもそも相続税がかからないという場合ならば節税する意味はありません。また、老後資金のシミュレーションも必要です。発生するかどうかわからない相続税を心配し、せっせと子や孫に贈与した結果、老後破たんしてしまっては元も子もありません。

もっとも、株の運用やアパート経営などで定年後も資産が増えていく前提であれば、子どもや孫に適宜、生前贈与することが選択肢として浮上します。そこで気をつけたいのが贈与の偏りです。

複数いる子どもや孫のうち、誰か特定の相手にだけ贈与する行為は、税制上は何ら問題ありません。しかし、民法上のトラブルを引き起こす危険性を孕んでいます。贈与を相続人と話し合って合意したうえで決めたとしても、遡って恨みが出てくるケースが少なくありません。相続時の骨肉の争いを回避するには、不公平感を抱かせるような贈与は極力避けておいたほうが無難です。

内藤 克(ないとう・かつみ)
税理士
税理士法人アーク&パートナーズ代表社員。現在、司法書士、社会保険労務士、弁護士等の専門家と同族会社の事業承諾中心にコンサルティングを行う。著書に『残念な相続』など。