玄関エントランスの郵便受けなどの居住者のネームプレートの様子も確認しておきたい。居住者同士のコミュニケーションの様子などを知る手がかりになる。

ただし、この点は地域事情とも関係する。最近は、都心などでは外部からの侵入を考えた防犯を配慮して表札をあえて出さないケースもあるからだ。この意味では、玄関エントランスの光景はマンションの立地条件とも大きく関係する。また住居専用マンションでも、都心に立地する物件では、会社など事務所のネームプレートが出ていたりすることがある。事務所や店舗など非住居と思われる名前の住戸には、そのマンションに住んでいない部外者の出入りがあるかもしれないことも考えておきたい。

基本的に、居住者がお互いの名前も知らずに住んでいるようでは、毎日の暮らしの中で玄関やエレベーターで顔を合わせたときや住み心地が気になる。居住者のコミュニケーションという意味で、玄関エントランスの光景には管理組合の様子を知る手がかりがあるといえそうだ。

こうしたことをもっと知ろうと思うなら、住戸の売り主に直接聞いてみるといい。ただし、売り主に聞いてもわからないこともあるので、仲介会社から管理会社に尋ねてもらうほうがいい場合もある。

買おうとするマンションが新築であっても中古であっても、管理組合に関するチェックポイントで大事なことは、管理規約と長期修繕計画である。管理規約は、いわばマンションの約束事の一番基本的なルール。管理規約がなかったり曖昧だったりすると、マンションの住み方がノールール化しているという不安がある。

長期修繕計画は、きちんと建物を維持・管理するために欠かせない基本資料である。マンションの建物や敷地の全体について、建物本体や設備について、何年後にどんな修繕工事が必要になるかを予測して一つの表にまとめたもので、マンションの建物健康カルテのようなものだ。

修繕積立金の額も、長期修繕計画に基づいていれば適切な決め方ができることになる。修繕工事が必要になっても費用が不足すると臨時費用を集めなければならなくなるが、それも無理な場合は気がかりな修繕工事が手付かずになってしまう。そうなると、生活上の不安が生まれるし、最後には住みにくいマンションという見方が生まれて資産価値が下がってくる。こうした最悪の状態を防ぐために欠かせないものが計画的な修繕工事であり、その手がかりが長期修繕計画なのだ。