「お金を引き出すハードル」は高い方がいい
その後も少しお金が貯まったかと思うと、すぐさまATMでお金を引き出してしまい、一向にお金が貯まらない。そんな日々をくり返すなかで気づけば20代後半、冒頭でお伝えしたように自己矛盾を抱えたFPになってしまったのです。すべて自分のせいとはわかっていながら、私の苛立ちは最高潮に達します。同時に「自分はなんてダメなんだ」と、自己肯定感が下がり続けていくという負のスパイラルに陥りました。
では、どうすればお金を貯められるのだろうと悶々としているときに、ただ一つ「できていた貯蓄」があることに気づきました。
勤務先で加入していた「確定拠出年金」です。
これは毎月の拠出額が給与から天引きされるという年金制度です。制度上60歳まで引き出せないため、貯金という意識はありません。ここに、貯金ができるようになるためのエッセンスが詰まっていたのです。
ポイントは大きく2つあります。ひとつは「自動で引き落としになる」ということ。もうひとつは「引き出す時のハードルが高い」ということです。
投信は“ほったらかし”で貯まる
その結果、行き着いたのは、投資信託(投信)を毎月積み立てていくという極めてシンプルな手法でした。
銘柄選びや証券会社の口座開設など、はじめての方は少しだけ手間に思うかもしれません。でも、一度投信の積み立てをはじめてしまえば、毎月決まった金額が銀行口座から自動で引き落とされて勝手に貯まっていきます。ときおりポートフォリオを見直すなどメンテナンスの必要はありますが、基本的には“ほったらかし”にすればいいのです。
途中で解約しづらいのもポイントです。銀行預金のように思い立ったらATMですぐさま引き出すというわけにはいきません。心理的にも「もしかしたら解約直後に値上がりするかも」と、もったいない気持ちになります。
積み立ての手続きは簡単です。
・良いといわれる条件(手数料が安い、バランスが良い)を満たす投信を選ぶ
・毎月1万円からでいいので積み立てをはじめる
私の場合は本を読んだり、周りのFP仲間から情報収集したりして、どの投信を買うかを決めていきました。最終的には証券会社を介して購入できる投信2銘柄に絞り込み、毎月1万5千円ずつ、計3万円の投信積み立てをすることにしました。