貯蓄は値動きの安定した「債券」を運用

これが大正解でした。最初は投信の値動きをみて、元本がマイナスになると不安を感じました。しかし、長い目でみればプラスになるようにポートフォリオは組まれているので、

途中からは文字どおり“ほったらかし”にして、気にしないようにしました。それに私の場合は、自分の裁量で貯金できないので、毎月少しずつお金が貯まっていくだけでしめたものです。

その後、さらにほかの投信でも積み立てをはじめるなど、拠出額を増やす(見直す)などしながら、いまでは無事に「私は貯められるFP」と冗談交じりに公言できるようになりました。

ちなみに私のいま現在の運用状況を伝えますと、年金以外の積み立て(貯蓄のための投信)では、値動きの安定している債券比率の高い投信を選んでいます。一方で、年金の運用(確定拠出年金)では、債券より値動きの大きい株式比率の高い投信に積み立てをしています。

60歳まで引き出せない確定拠出年金のように、中長期の運用で一定額を積み立てていく場合、投信の価額の高いときに買ってしまうこともあれば、値段の低いときに買うこともあります。ですから値動きの大きくリスクのある株式であっても、結果的に投信の価額が分散され、平均購入単価は安定します。逆に短期での積み立てを株でやろうとすると、平均取得価額は読みづらいので、低リスクの債券の方がベターです。

個別株の運用はあまりしませんが、ふだん生活する中で「このサービスいいな」とか「この商品が好き」と思ったら、その会社の業績をざっくり確認してから応援のつもりで投資することもあります。

水野さんの行うマネーセミナーの風景

小さな成功体験が、自己肯定感を高める

しばしば私のもとにも寄せられるのが、「手元資金が少ないから積み立てする余裕がない」という声。その方に私が伝えるのは、3000円や5000円程度であっても、積み立てられないのかということです。月3000円の積み立てをすれば年3万6000円、月5000円であれば年6万円は貯まります。無理して多額の積み立てをしても長続きせずしなかったら意味がありませんから、少し贅沢なランチ一回分を積み立てにまわそうと考えてみるのがおすすめです。

積み立ての習慣さえできてしまえば、あとは運用額が数値として目にみえるかたちで増えていきます。それが「自分は貯金できている」という小さな成功体験になり、自信をもてるようになっていくのです。かつての私のように、自己肯定感が下がり深みにはまってしまう前に、とにかく積み立てをスタートするです。

いまも私は相変わらず銀行口座にお金はありません。証券口座のお金を取り崩すこともあります。でも、手元にまとまったお金ができたら、投信を買い増したり、株を買ってみたりして順調に貯蓄ができています。

貯金を継続するのは、思いのほか大変です。そうこうするうちに、あっという間に一年、二年は過ぎていきます。ぜひ自分には何が向いているのかという視点から、2019年はお金と向き合う時間をつくってみてはいかがでしょうか。

水野 綾香(みずの・あやか)
ファイナンシャルプランナー
AFP。金融総合代理店に10年勤続。2017年7月よりソーシャルレンディングを手がけるクラウドクレジット広報。独立系FPとして家計のファイナンシャルプランニングやiDeCo・NISA、生命保険などについて年間60回程度のセミナーを全国で実施。マネー知識をただ伝えるだけでなく、行動変容・意識変容を起こすための指導に定評がある。
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