2年連続全国大会に導いた監督は「コース主任」
サッカー部の萬場努監督は34歳。東海大からJFLの佐川印刷に進んでサッカー選手としてプレーし、24歳で同高教員となった。現在は「特進Aコース」のコース主任も務める。
「私はあくまでも学校の教員で、サッカーというツールを使って、生徒の教育や人格形成をしています」と語る萬場氏。たとえば高嶋くんには、「口数の少ない生徒だが、サッカーの技術はチーム一。コミュニケーション能力を高めさせるため、主将に任命した」と明かす。
現在のサッカー部員124人のうち、茨城県出身者は85人を数える。もともとフィジカルに定評のあるチームだったが、年々チームワークも上がり、水戸や古河、鹿島が強かった県内地図を塗り替えた。現在はコーチもOBが務めるようになった、という。
「野球」と「サッカー」で活躍すると注目される
理事長の小野氏は穏やかな人柄だが、元企業人らしく「PDCA」サイクルを描いて改革を進める。
「スポーツでは、まず野球とサッカーを強化して知名度を高めようと思いました。この2つはメディア露出がケタ違いで、中学生を持つ保護者や地域が注目してくれる、と考えたのです」(同)
スポーツが強い学校は、在校生も卒業生も自信を持つ。「後輩が活躍する甲子園大会(や高校サッカー)で元気をもらった」という話は、いたるところで耳にする。筆者が最初に同校を訪れたのは、サッカー県大会決勝の前々日。試合予想の水を向けると、小野氏はキッパリと答えた。
「勝つと思いますよ」
総務省が委嘱する、全国約5000人の行政相談委員の長「全国行政相談委員連合協議会会長」も務める小野氏だが、スケジュールが許せば、運動部の応援に県大会の1回戦から駆けつける。次回は具体的な「アクションプラン」を紹介しつつ、学校改革の歩みを追っていきたい。
経済ジャーナリスト・経営コンサルタント
1962年名古屋市生まれ。日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。