増田陸くんは、今年のドラフト会議で巨人の2位指名を受けて入団が決定。背番号は「61」となった。高校通算34本塁打で、2018年の選抜高校野球に出場。ベスト16まで勝ち抜き、主将で1番ショートとして活躍した。巨人の現主将・坂本勇人選手に似たプレーぶりで「坂本二世」(坂本選手の入団時も背番号61)とも呼ばれるが、本人はこう語る。
「坂本さんが高校時代に教えを受けた、金沢成奉監督(現明秀日立監督)の指導を受けました。坂本二世と呼ばれるのは光栄ですが、いつの日か『増田一世』になりたいです」
大阪市出身だが、茨城県に来たのは「金沢監督の元で」の思いからだったという。
ゴルフ3姉妹で育った「ベストアマ」
髙久みなみさんは、今年の「樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント」で8位入賞、ベストアマに輝いた。長女・あずささん(学法石川高→東北福祉大卒)、次女・ゆうなさん(東北高→東北福祉大4年)の三人姉妹の三女だ。アマチュアゴルファーとして活躍し、ゴルフ場の支配人を務める父のもと、幼い頃からゴルフの練習を積んできた。
「姉たちとは違う環境でゴルフをしたくて、福島県の実家にも比較的近い、明秀日立を選びました」と明かす。卒業後は進学せず、大学を卒業する次女とともに、プロテストを受ける。少し前にスポーツ紙の取材で答えた「父に連れられて行く居酒屋での好物は『イカゲソ』」の発言が注目された。「とっさに答えたのですが、失敗でした」と明るく笑う。
3人とも「特進Aコース」3年生だ。一般学生も所属する同コースは「選抜クラスで超ハイレベルな文武両道を目指す」を掲げる。授業は45分×7時間制をとり、3人も「夜遅くまで部活動をする翌日の、7時間制は長い」と苦笑いしながら通学する。
ユニフォームよりも「制服が似合う生徒」に
現在の同校には「全日制」と「通信制」があり、全日制で約1100人、通信制で約700人が在籍。全日制は「特進STコース」と「特進Sコース」(授業は45分×8時間制)、そして「特進Aコース」の3コース制を敷く。かつての体育コースは2007年に廃止した。「文武両道」を掲げる高校の中には、スポーツ系生徒と一般生徒が交わらない例も聞くが、それを変えた。
「スポーツ推薦でも一般入試でも、生徒が同じ環境で学べるのが本校の特徴です。座席が近いクラスメートが活躍すれば、応援にも力が入る。一方で、どんなに注目されても、ユニフォームよりも制服が似合う生徒でいてほしいのです」(矢野正彦校長)
今年(2018年)校長に就任した矢野氏は、同校生え抜き(1986年奉職)だ。就任前は、副校長を2年、その前は教頭を7年務めた。時に笑顔を見せながら語る矢野校長だが、12年前には、現在の同校の躍進ぶりは想像できなかった。