次に、保育士と幼稚園教員を見てみよう。いずれも聖徳大学が全国トップ。1990年創立の私立女子大で、児童学部の学生が在校生の半数近くを占める。

「やはり伝統の強さですね。伝統校の学生の民間の保育園への就職では、先輩が退職したら、後釜には同じ大学の後輩が入る、というようなことが普通に行われていますからね」

同じ上位の東京家政大、十文字学園女子大、鎌倉女子大なども同様だ。入学者さえ確保できれば、そうした就職ルートの好回転で手堅い経営が望める半面、今後は少子化の下でそれをどう維持するかが課題となりそうだ。

なぜ? ランク入りしない国立教育大

小学校教員のランキングでは、国立で校名が「地名プラス教育」の大学がトップ3を占める。これはある意味当然で、1~3位の北海道教育大学、愛知教育大学、大阪教育大学は『日本三大教育大学』と呼ばれる国立大だ。次いで私大の文教大学、岐阜聖徳学園大学が4位、5位に食い込む。

「文教大は、私大では早稲田大学や上智大学に次いで早い時期に教育学部をつくった大学。しかも、教育学そのものを専攻研究するというより、教員養成を目的とした実践教育の学部の色彩が強く、就職戦線では非常に強い。岐阜聖徳も同様です」

玉川大、四天王寺大も就職数では上位入り。これも歴史ある実践教育によるものだ。京都の佛教大も通信課程の教育学部を古くから設けて、「東の玉川、西の佛教」と評された伝統校。兵庫の武庫川女子大学も上位20入りしている。

「これら上位私大の共通点は、教員になったOBらの協力体制も整っていること。先輩が無償で試験勉強のアドバイスや面接の指導を行っている」

教育大と名の付く国立大学でも、なかなかここまできめ細かくは実践できていない。

「ランクに入っていない国立教育大は、学内の連携ができていない場合も。教職支援部門の職員は合格者を増やすのに躍起なのに、教員は『教育大は教員養成ではなく、教育学を極めるための大学。なぜ採用試験の対策に時間を割かなければいけないのか』という具合に非協力的なケースもありますね」