どうしても忘れられない「2013年の成功体験」

だから、不人気政策は今年のうちに終えておいて、来年は安全運転で政権運営をしようと考えた。「年が変われば……」という発言は、まさに安倍氏の本音なのだろう。

安倍氏には「成功体験」がある。首相に返り咲いてから約1年後の2013年12月6日、安倍政権は国民の知る権利を侵害する恐れがあると批判を受けた特定秘密保護法案を強引に成立させた。さらに26日、安倍氏は靖国神社を電撃参拝した。靖国参拝は安倍氏の悲願だったが、アジア諸国の反発を懸念して世論は反発。国内の世論は傲慢さを増してきた安倍政権に対して厳しい目を向けた。

しかし、年末年始を超えて14年に入ると安倍政権は再び支持は安定していった。まさに「年が明けて状況が変わった」のだ。この時、安倍氏は年を越えれば国民は怒りを「忘れる」ことを学習した。

国民が本当に忘れてしまうかどうか

年末に改正入管難民法を成立させたのも、辺野古に土砂を投入させたのも、来年19年の統一地方選、参院選を重視しているから。19年前半は、国民から批判を受けるような決断は行わず、国民受けするような政策を並べて選挙に備えることになるだろう。

問題は、来年の統一地方選、参院選の投票日、安倍政権が今年の12月に政権が行ったことを、国民が本当に忘れてしまうかどうか。期待に反して国民の記憶力が良かったら、2019年、安倍氏は手痛い思いをすることになる。

(写真=時事通信フォト)
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