どちらが正しいのかは、今後の研究に委ねられますが、いずれにせよ多くの人は時間とともに自然と回復していくものです。

ところが、一部の人は時間が経ってもつらい記憶がフラッシュバックしたり、つらい体験をテーマとした悪夢があたかも幻覚のように出てきて繰り返されたりすることがある。これは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状です。

極度に不快な夢を繰り返し見ることで睡眠が妨げられてしまい、日常生活に大きな支障が出てしまうのは、悪夢障害という病気です。あまりにもひどい悪夢が続いて夜に眠るのが怖くなってしまったり、睡眠が浅くなって起きている間のパフォーマンスが下がってしまったり、あるいは日中に睡魔に襲われて注意力が低下したりするなどの問題が起きてくるのが特徴です。

日常生活に支障が出る場合は、心療内科や精神科があるクリニックへの通院をおすすめしますが、どんな人でも悪夢を見るものですし、たまに見る程度や、日中にそこまで気にならないようであれば、問題はありません。その程度の悪夢であれば、人に話すことが手近な対処法になります。

苦しい「金縛り」は、こうすれば大丈夫!

悪夢とは直接関係ありませんが、睡眠中に怖い思いをしたり、不快になったりする点で言うと、「金縛り」も対処すべき問題です。

金縛りは、専門用語では「睡眠麻痺」と言われていて、寝ているときにふと目を覚まし、体を動かそうとしても動かせない現象と定義できます。その状態から抜け出すために有効なのが、目をできるだけ動かして、ちょっと離れたものを見つめる動作を繰り返すことです。天井の照明などに目を向けているうちに、睡眠麻痺は解けやすくなります。

金縛りは、4~5割の人が人生で1度は経験すると言われています。2回以上経験する人の数は少なくなってきます。ナルコレプシー(日中に強い眠気の発作が起きる睡眠障害の一種)の症状として現れることもありますが、もしそうではなくて金縛りを繰り返すのであれば、悪夢が増えるのと同じように、かなりストレスがかかっているということなのかもしれません。