他人に振り回されない人の特徴とは

何が起きても動じず、他人に振り回されない生き方をしている人は、「心の免疫力」が高い人、ともいえるでしょう。

松原 正樹(著)『心配事がスッと消える禅の習慣』(アスコム)

心配や不安といったネガティブな感情にとらわれそうになっても、「心の免疫力」がついていれば、手放すことが容易になります。以前なら心配しすぎて何日も寝込んでいたけれど、心の免疫が上がっていくことで、一日寝れば回復し、それが瞬間的な発熱で済むようになり、そのうち自然と「レット・イット・ゴー」できるようになっている。そんなイメージです。

60歳、70歳になっても筋トレの効果はあるように、「心の免疫力」も年齢に関係なく、誰でも鍛えることができます。

湧き上がってくる感情はコントロールできなくとも、それをあっさり手放すという形でコントロールしていくことができるようになります。

レット・イット・ゴーの利点は一つの感情に執着しないことに加え、今ある感情を手放すことで、次の気づきや感情を受け入れる余白が生じることです。

一つの感情にとらわれて長く持ち続けることは、新しい自分と出会う機会を奪ってしまいます。

常に新鮮な自分であるために、あるがままに感情を受け止めて、どんどん手放していきましょう。

人を見た目で判断することの怖さ

私は修行道場にいるときに、ひと月に二回ほど托鉢(たくはつ)という修行を行っていました。今はあまり街角で編笠(あみがさ)をかぶって立つお坊さんを見かけることは少なくなりましたが、一般的なイメージでいうと、片手にお椀のような鉢(はち)を持ち、鈴を鳴らし、金銭や食べ物などの施(ほどこし)を受けるという修行です。

私が最初に托鉢を行ったのは、埼玉県の志木(しき)駅前にあるマクドナルドの前でした。大学を卒業してすぐに修行道場に入っていますから、マクドナルドに出入りする若者と年齢は変わりません。

私が私服でそこに立っていれば、誰かと待ち合わせをしているのかなと誰もが思うところですが、編笠をかぶった私は、なんだかお金を欲しがっている汚い格好の人、という白い目でジロジロと見られます。あからさまに軽蔑の目を向ける人もいます。

人生で初めて人間として扱われないという体験をして、自然と涙もこぼれましたが、あの経験を経て、人を見た目で判断することの怖さを身をもって知ることができました。