2018年12月17日(月)

日本のエネルギー産業は今後どう変わるか

破壊的イノベーション時代の設計図

PRESIDENT Online

画像=Science Photo Library/アフロ 文=川口昌人
今、世界のエネルギー業界は、2つのトレンドによって大きくその姿を変えつつある。それは多くのプレーヤーを惹きつける新たなビジネスチャンスでもあると同時に、対応を誤れば巨大企業でさえも衰退に至る「破壊的イノベーション」の波でもある。日本を代表するシンクタンクである野村総合研究所で、エネルギー業界を専門とする気鋭のコンサルタントが、これからの業界の動向を大胆に展望する――。
カギを握るのが、「蓄電池」などのテクノロジー進化と普及だ。(画像=Science Photo Library/アフロ)

どんどん進む「システム分散化」

世界のエネルギー業界を、2つの大きなトレンドが様変わりさせつつある。一つは「エネルギーシステムの分散化」、もう一つは「エネルギーサービスのワンストップ化」だ。

「エネルギーシステムの分散化」とは何か。発電と送配電のシステムを例にとれば、従来は数十万~数百万キロワットもの出力を誇る大発電所から、超高圧の送電線を使って遠方にまで電力を届けるという仕組みが主流だった。だが昨今各国でシェアを伸ばしつつある、太陽光や風力などの再生可能エネルギー(再エネ)による発電では、大規模発電所に比べれば小出力の発電設備が各地に分散して設置され、比較的電圧の低い送電線を通じて近距離に送配電される形になっている。

「分散化の大きな要因は、テクノロジーの進歩です」というのは、野村総合研究所グローバルインフラコンサルティング部の佐藤仁人・主任コンサルタントだ。太陽光発電や風力発電のキロワット時あたりの発電コストは、世界的に見れば従来の発電方式とほぼ同レベルにまで下がってきた。再エネの泣き所である発電量の変動をカバーする蓄電池も、技術革新で大幅に価格が低下。電力需要のピーク時に供給側だけでなく需要側でも制御を行って電力消費量を抑制する「ディマンドリスポンス」技術や、分散型の発電設備をまとめ、あたかも一つの大きな発電所であるかのように運用する技術も進化し、コストやトータルの効率で、分散型システムが従来の「中央集権型」システムより優位となる見通しが立ちつつある。

これと同時に進行しつつあるのが、「エネルギーサービスのワンストップ化」である。電力とガスといった異なる種類のエネルギー、あるいはエネルギーと通信などの異種のサービスをセットで供給したり、需要家側に設置する太陽光発電や蓄電池、場合によっては電気自動車(EV)をも組み合わせ、トータルで最もコストパフォーマンスが高い、あるいは二酸化炭素排出量の少ないプランを提案したり――。

「当初はビルや工場のような大口需要家向けから始まりましたが、最近では一般家庭向けの提案も広がっています。単にエネルギーを売るというビジネスから、需要家から見たソリューションを売るビジネスへの転換といえるでしょう」(佐藤氏)。

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