経営課題はあるが「大手テレビ局=高給」は維持

開示されている従業員の年収は、367万円ダウンのフジ・メディアHDを筆頭に、東京放送HD、朝日放送グループHD、RKB毎日HDのダウン幅が大きい。ただし、単体ベースで計上している各社の2017年度人件費は、2016年度比で微増・微減での推移。金額のダウンは平均する従業員の入れ替えによると見るべきだろう。

フジは38人から11人の減少。平均額を押し上げていた従業員が退職・転籍したと推定される。事実、平均勤続年数が15.6年から12.8年と短くなっており、社歴が浅い従業員が多くなったようだ。同社の場合、多角化事業を推進しているという事情もある。本社は東京都からの賃貸だが、サンケイビルなど不動産子会社を抱える同グループの土地資産は約2400億円(帳簿価額)、不動産事業売上高は1000億円を超す。

朝日放送グループHDとテレビ朝日HDの数値は、子会社であるテレビ局の数値。持株会社の従業員だけでなく、多数の従業員を抱えるテレビ事業子会社でも平均が1000万円を突破しているわけだ。多くの経営課題に直面しているが、依然として「大手テレビ局=高給」は維持されていると見ていいだろう。

NTTドコモより低いソフトバンク、それより低い楽天

日本経済のリーダー的ポジションを確保するまでに成長してきた大手通信会社も、転換期を迎えているようだ。日本電信電話(NTT)の中核は、NTTドコモから海外を含めてITサービスを展開しているNTTデータに移行。ソフトバンクグループは携帯事業子会社を新規上場で事実上切り離し、投資事業に専念する。

従業員給与はソフトバンクグループが1100万円台でリード。KDDIとNTTも平均額から推計すると、40歳前後で1000万円突破の水準である。

ただしソフトバンクグループは、12月19日、携帯電話事業を「ソフトバンク株式会社」として新規上場させる。表には未収録だが、有価証券報告書によると、平均年収は754.7万円、平均年齢は39.0歳(9月30日現在)。NTTドコモの平均年収は873.7万円なので、給与水準は下回っている。

携帯電話事業には楽天が本格参入を表明している。楽天は業種が「サービス」に分類されているため表にはないが、従業員平均給与は707.8万円(前年度比18.5万円増)で、ソフトバンクよりもさらに低い水準となっている。

なお、平均年収320.5万円で最下位の421位となったホットリンクは、「提出した有価証券報告書の記載に間違いがあった。2017年度の正しい平均年収は591万円」と説明している。