Q3 インフルエンザの効果的な予防法は?

インフルエンザの予防として、まず思い浮かぶのが予防接種だが、これについて裴氏は、「できる限りワクチンを打つことです。ワクチンの効果が出るまでに2~4週間かかるので、早めの接種をおすすめします。家庭内での感染を防ぐため、家族全員が接種するのが望ましいですね」と断言する。

近年、抗インフルエンザウイルス薬「リレンザ」を予防のために服用する家庭も出始めている。親としては魅力的な選択肢のように感じるかもしれないが、副作用を考えると避けたほうがよいと裴氏。

「自費負担で予防投与をしている病院がありますが、服用すると肝臓など臓器に負担がかかります。予防投与はあくまで老人や病弱な方向けの措置で、子供への処方は慎重に考えたほうがよいでしょう」

冬場の病院は風邪やインフルエンザの患者が多数集まるため、“もらいインフル”にも注意したい。

「単なる風邪だったのに、病院に行ったせいでインフルエンザのウイルスに感染してしまったという例は非常に多い。体調が悪くても1日は様子を見るほうがよいでしょう。急いで病院に行ったからといって、すぐに治るわけではありません」

Q4 体調不良に気付いたら、どう手を打ったらいい?

「風邪のひき始めの段階で、適切な食事を取ることで、重い発熱や長引く体調不良を避けることができます」と前出の関氏。関氏は東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターで放射線を活用した研究のかたわら、漢方やツボ押しなど東洋医学の普及活動も行っている。

『プレジデントFamily2019冬号』より

「東洋医学は“効果が出るまでに時間がかかる”というイメージを持たれがちですが、実際は30分で効果が出ます」

東洋医学の観点では一口に風邪といっても、その人の体質によっていくつかのパターンに分かれる。

「風邪にかかりやすい体質・体の状態は、大きく分けて2パターンです。一つ目が手足が火照って寝汗をかきやすい“陰虚”タイプ、逆に冷えが強く、風邪をひくと悪寒がして寒くなる“陽虚”タイプ。それぞれに合った対処法があります」(関氏)

まず、“陰虚”と呼ばれる、体が熱を帯びるタイプは、水分が足りておらず、体が冷却不足状態。鼻や喉が乾燥して空せきが出るといった風邪をひく。牛乳、チーズ、卵、小松菜など、体を潤す食べ物を使った食事を取るとよいそうだ。

“陽虚”タイプは、風邪のときに寒けが強くなり、体の冷えや下痢などの症状が出やすい。体の熱量が足りないため、羊肉やニラ、クルミなどの体を温める食事を取るとよい。

「東洋医学では、これらの乾燥感や悪寒を伴う風邪に加えて、“気滞”という体調不良があります。“気滞”の症状は偏頭痛や腹痛などがあります」(関氏)

“気滞”は主にストレスによって引き起こされる。対処法として有効なのは、ミカンの皮やハッカの香りだと関氏。

「香りは直接脳を刺激するので、即効性があります。アロマオイルなどをハンカチにしみこませて持ち歩いたり、ミカンをお弁当に入れたりするのがおすすめです。ストレスは免疫力全般を低下させるため、特に注意してください」