社長じゃなくても、役員でもいいです。それでも、そこにたどり着けるのはごく一握りだということに変わりはありません。ものすごく狭き門での、勝ち目の少ない争いです。
会社という本拠地を使いつくそう
では、勤務先の会社という枠を取り払い、日本という会社の会社員だと考えましょう。
その日本株式会社の社長になるのは勤務先の社長になることよりもはるかに難しいけれど、係長くらいになるのはできそうだし、そのまま課長や部長になる必要もないと思います。
日本の係長ということは、いろいろなところで係長的に動くということでもあり、ある場所・タイミングでは社長っぽく、あるところでは新入社員っぽく動くということでもあります。自分一人の趣味については社長だし、仲良くなったお店のご主人から「今度、みんなで遊びに行くんだけど、一緒に行く?」と誘われたら、新入社員です。
こんな感じでいろいろなところ、いろいろなコミュニティでいろいろな立場を持っていると、そのうちのひとつやふたつが仮になくなっても、ダメージは最低限で済みます。
では、勤務先の会社一筋で常務になった人から、その常務の管轄する事業が失われたら? 会社がどこかと合併して、常務の席取り合戦で敗れたら? そもそも会社がなくなったら? このダメージは計りしれません。
だから、僕はひとつの会社での出世競争をすすめられないのです。
勤めている会社は、本拠地のようなもの。本拠地でだからできることも、そこでしか学べないことも、たくさんあります。でも、そこでしか生きられないというのはちょっとまずい。会社という本拠地が未来永劫、健全に存在する保証はないからです。だから、いつかシフトできるフランチャイズタウンをいくつか持っておいたほうがいいと思います。
水代優(みずしろ・ゆう)
good mornings代表取締役
2002年より株式会社IDEEにて新規出店を手掛ける。2012年にgood mornings株式会社を設立。東京・丸の内や日本橋をはじめ、全国各地で「場づくり」を行い、地域の課題解決や付加価値を高めるプロジェクトを数多く手掛ける。
good mornings代表取締役
2002年より株式会社IDEEにて新規出店を手掛ける。2012年にgood mornings株式会社を設立。東京・丸の内や日本橋をはじめ、全国各地で「場づくり」を行い、地域の課題解決や付加価値を高めるプロジェクトを数多く手掛ける。
(写真=iStock.com)