Q.ローン控除と不動産市況、どちらを重視すべきか
住宅を購入すると、年末の住宅ローン残高の1%(※)相当が所得税や住民税から控除される「住宅ローン控除」が受けられる。対象者は2019年6月までに入居した人なので、それまでに購入するのが得策……と考えがちだが、そうは言い切れない。
※住宅の性能などによって上限あり
この制度には期限が設けられているものの、実際には、1972年の創設以来、途切れることなく延長されてきた。住宅産業は経済波及効果が大きいこともあり、国が持ち家取得を奨励しているためだ。
では、不動産市況はどうか。
人件費や建材費の増加で価格が上昇し、新築マンションの全国平均価格は4600万円超(15年)。
一方、平均給与は420万円程度(国税庁調査)と、08年のリーマンショック前の水準だ。年収の5~6倍が購入可能な住宅の限度であり、平均給与の11倍まで高騰していては手が出せない。
東京五輪を控えて今後も価格上昇の可能性はあるものの、ピークは見えている。一部の外国人投資家は売り始めており、月単位では下落しているエリアもある。市況に注目して、下げを待って買う、というのが得策だ。
もし大幅下落に転じれば、市況を活性化させる目的で住宅ローン控除が拡充される可能性もある。そうなれば、「価格も下がる&控除も大に」とダブルでメリットを享受できる。
控除の期限は無視。今後の相場下落を待って買うのが得策
(構成=高橋晴美)